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8月から「年金受給」範囲拡大 いつから、いくらもらえるのか?

6/24(土) 12:00配信

ZUU online

いよいよ「10年年金」の制度がスタートする。今まで老齢年金を受給できなかった人の多くが、今後は年金を受け取ることができるようになるわけだが、老齢年金制度の基本と合わせて理解したい。

■まずは、老齢年金の基本から

仕事を引退したあとの一定の収入を、国として制度化したものが「老齢年金制度」だ。現役世代の人が毎月コツコツと年金保険料を支払い、そしてその時の高齢者に一定の収入として支払われるのが、この老齢年金制度の仕組みである。

つまり「保険料を支払う人がいてこそ、年金を受け取る人がいる」というのが制度の基本原則であり、今回はこの「受け取る人」の条件が緩和された。

その老齢年金制度であるが、2階建ての制度と言われている。

まず1階部分は、国民誰もが加入している国民年金だ。この国民年金からは、通常、65歳から老齢基礎年金が支給されるが、支給されるための要件があり、それが「国民年金の保険料を最低25年間納めること」である。今回の「10年年金」はこの「25年の納付要件」が「10年の納付要件」になった。

そして2階部分が、老齢厚生年金である。サラリーマンなどの被用者が、自分の収入に合わせた厚生年金保険料を支払い、その支払い保険料に応じて1階部分に上乗せされて老齢厚生年金が支払われる。収入が多い人は多くの保険料を支払うので、結果的には老齢厚生年金を多めに貰うことになる。

■今まで老齢年金がもらえなかった人は、こんな人

この老齢年金制度、大前提が「老齢基礎年金の受給権を満たす必要がある」ということだ。この受給権が前述のように、今までは「25年」であり、この受給期間を満たさないと、老齢基礎年金を一円も受け取れないのである。

例えば、国民年金保険料を20年間支払ったケースで考えてみよう。20年間は国民年金の保険料をきちんと支払ったものの、その後20年間は資力がなく、保険料を未納にしてしまったとする。このように、数年間分~数か月分の納付期間が不足している人が、今回のこの「10年年金」によって、老齢年金を受け取れるようになるのだ。

他方、次のような「納付要件が20年」の人も老齢年金を受け取れることになる。

それは、15年間はきちんと国民年金の保険料を支払い、その後5年間支払う資力がなくなったので、保険料免除の申請をしている、というケースである。

このケースで注意しなくてはいけないのは、5年間の保険料免除期間は、保険料納付期間としてカウントこそされるが、年金額への反映はされず(あるいは部分的にしか反映されず)、年金額は20年間支払った人より少なくなるという点である。

参考 保険料を納めることが、経済的に難しいとき(日本年金機構)
http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

この2例から言えることは、保険料納付要件の「満たし方」によって、貰う年金額に差が出てしまう事があり得るということだ。

もう一つ大事なことがある。
それは老齢厚生年金を受け取れる人が増えるということだ。
老齢基礎年金の受給要件を満たしていることが、老齢厚生年金の受給要件だが、今回の「10年年金」の導入によって、結果的に今までは「かけ捨てられていた」厚生年金保険料が、晴れて老齢厚生年金として支払われることになるのだ。

サラリーマンを5年ほど経験した後、ずっと個人事業主として働き、国民年金の保険料を未納にしてしまい合計20年しか保険料を納めなかった、というようなケースに該当する人も今回の改正で老齢厚生年金を受け取ることになる。

■10年年金の貰い方と、その内容

この「10年年金」に該当する人には、今年の2月から年金請求書が送付されている。誕生日によって送付する月が違うが、この7月下旬で請求書の送付は終わることになる。8月になっても請求書が送られてこない人で、自分がこの「10年年金」に該当するのではと思う人は、お近くの年金事務所に年金手帳を持って相談に行ってみて欲しい。

さて、この「10年年金」に該当する人で、65歳以上の人は、今年の10月に9月分の年金が支払われる。これが一番早いスケジュールである(年金事務所談)。そして、偶数月の12月には10月・11月分が支払われ、それ以降は2か月ごとに年金を受け取ることになる。

また、65歳までの人で、厚生年金に一年以上加入した経験のある人は、老齢厚生年金の一部を、今から受け取ることもあり得る。

では、実際に受け取る年金額を、老齢基礎年金の例で確認してみよう。20歳から60歳までの40年間保険料を支払うと、年金額は約78万円となるが、仮に20年間だけ保険料を納めた人がいた場合は、年金額は約39万円となる。

このような受取額に、保険料免除期間があると減額されて、厚生年金を納めていると受け取り額が増える、ということになる。

いずれにせよ、老齢基礎年金を満額貰うだけでも、老後生活が不安なく暮らせるかどうかわからない時代である。だからこそ、自分年金に取り組んだり、資産運用をしたり、定年後も働く人がいるのだ。

この「10年年金」だけで老後の生活費が賄えるとは言い難いのも事実で、もう少し年金額を増やしたいと考えるならば、国民年金の任意加入制度や後納制度を活用することも念頭に置いてほしいと思う。

石川智(いしかわ さとし) ファイナンシャル・プランナー 終活アドバイザー
オフィス石川代表 1966年高知県生まれ。トヨタ系ディーラー、外資系保険会社の営業職を経て、2010年ファイナンシャル・プランナーとして独立起業した。一般消費者向けの相談業務だけでなく、「障害者とお金」「高齢者とお金」「終活」をテーマに広く講演活動を行っている。ライフワークとして「地域福祉とライフプランニング」に取り組んでいる。

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最終更新:6/24(土) 13:56
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