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「次世代ブロックチェーン即時グロス決済」BoEが目論む決済システムの一大革命

6/24(土) 12:10配信

ZUU online

イングランド銀行(BoE)のマーク・カーニー総裁は、現在開発中の次世代即時グロス決済(RTGS)がブロックチェーン技術を組みこんだものであることを明らかにした。

これは、RTGSの中核システムである、内部管理型証券資金同時受渡(DVP)あるいは外国為替同時受渡(PVP)用プラットフォーム、仮想通貨用プラットフォームなどに、ブロックチェーンを活用するという発想だ。実現すれば、大口決済および決済システムの一大革命となるのではないかと期待される。

■既存のRTGSから新たな決済システムへの移行が必須との見通し

BoEは2016年9月、次世代即時グロス決済(RTGS)の研究・開発に関する報告書を発表し、英国の金融システムを安定化させるうえで、新たな決済システムへの移行の必要性を主張した。

RTGSは、中央銀行による金融機関間の口座振替の手法だ。それまで主流だった「時点ネット決済(DTNS)」に代わる決済処理方式とされており、1980年代から各国の中央銀行がRTGS導入を開始した(国際決済銀行1997年データ)。

DTNSは、取引を一定時間蓄えて受払差額分(各銀行が他行に支払う金額と他行から受けとる金額の差額)を決済する。最大のリスクは、一行の当座預金残高が不足しているだけで、すべての金融機関の決済が滞るという点にあった。

対するRTGSは各取引を即時決済するため、そのようなリスクが軽減する。しかしテクノロジーの発展とともに金融システムの潮流が変化し、既存の決済システムの非効率性や不透明性が問題視され始めた。

一日約5,000億英ポンド(2017年5月中旬時点で約73兆円)にまで膨張したRTGS取引を円滑かつ安全に処理するうえで、既存のRTGSはすでに時代遅れの産物となり始めている。BoEは耐性と相互運用性に優れ、広範囲にアクセス可能とユーザー機能を提供できるよう、根本的な構造改革に乗りだしたのだ。

■ブロックチェーン技術が決済システムの「耐性・信頼・共有」に貢献

現時点ではブロックチェーン技術をRTGSの中核システムに採用するほか、中央銀行へのアクセスを要するDVPやPVPのプラットフォームの構成、そしてRTGSと相互性のある仮想通貨プラットフォームの開発などに役立てる試みが提案されている。

少し前までは銀行を消滅させる脅威として恐れられていたブロックチェーン技術を逆手にとり、「耐性」「信頼」「共有状態」といった特性をRTGSのシステムに組み込むことで、システム全体に飛躍的な向上が期待できるとされている。

英国における大口決済資金はCHAPS(電子送金機関)を通してRTGS処理されるが、非銀行系決済会社は直接アクセスできないという難点が常々指摘されている。包括的な金融システムの構築を目指すうえで、このような問題は致命的だ。

しかし新システムの導入により、より多くの金融機関にCHAPSへの直接アクセスが承認されるほか、非銀行系決済会社がRTGSを利用できる環境も整う。

マーク・カーニー総裁は、ブロックチェーンを「既存の決済システムをくつがえす新技術」とし、何十億英ポンド(2017年5月中旬時点で10億ポンドは約1,460億円)ものコスト削減に加え、システム強化の実現を確信している。

■アクセラレータ設立からHyperledger Project参加まで

分散型台帳に秘められた可能性を金融システムに取り込むというBoEの挑戦は、仮想通貨、データセキュリティ、メタデータ(属性情報)管理、ビジネスルール・ツールの概念実証などを通して、意欲的に進められている。

2016年6月のFinTechアクセラレータの設立から始まり、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)、BitSight、Privitarといった企業と提携することで、可能性の探索を具体的な成果につなげた。

また、2017年2月にはリナックスファウンデーションが主催するブロックチェーン・コミュニティ「Hyperledger Project」にも参加し、グローバルな視点から研究に取り組んでいる。

BoEの次世代決済システムは2020年完成予定だ。ブロックチェーン技術によって、次世代RTGS、そして分散型台帳対応型CHAPSが実現しようとしている。(提供:MUFG Innovation Hub)

最終更新:6/24(土) 12:10
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