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MICE 黄信号 意見対立、一括交付金遅れ

6/24(土) 10:38配信

琉球新報

 沖縄県が2020年9月の供用開始を目指す大型MICE施設への一括交付金決定が進まず、本年度中に予定している基本設計や実施設計などへの着手に黄色信号がともっている。政府が施設の採算性や周辺への経済効果など「根拠」の提出を求めて難色を示すのに対し、早期の予算決定を望む県は「MICEは経済インフラ」と位置付け「単体で収益を出す施設ではない。最初から黒字化するのはあり得ない」(県幹部)と双方の意見が食い違い、先行きは見通せない。

 県が西原町と与那原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に整備する大型MICE施設は、展示スペース約4万平方メートル、事業費約513億円で、設計・建設・運営を同一業社が一括で行うDBO方式を採用する。

 県は当初、春先にも交付決定を受けて基本設計や実施設計などの作業を進め、2018年度から着工すると計画していた。23日現在でも交付決定がない現状に、別の県幹部は「交付決定の時期を逃したら、次のスケジュールに影響が出るかもしれない。MICE施設の完成にもどんな問題が生じるのか分からない」と頭を抱えた。

 県が事業者を公募した当初、千人以上が参加するイベントを年間131件開催しても、開設後の11年間は累計18億円程度の赤字を見込んでおり、12年目から収支バランスが取れるシナリオを想定している。県は「供用開始した当初は施設の知名度がまだ低いので、本格運用にならない。国内のほかのMICE施設でも開設当初は苦労していた」と説明する。そのため、県は11年間で生じる約18億円の赤字を指定管理料として負担する予定だ。

 しかし、政府が一括交付金決定に慎重なのは「税金で赤字を埋めることは県民が納得しているのか」と県の計画を問題視しているためだ。

 国はMICE施設の予算審議に当たり、施設の需要見通しなどの説明も求めているという。富川盛武副知事は、東海岸地域サンライズ推進協議会(会長・古堅國雄与那原町長)の要請に対し「国内外の企業からも問い合わせが来ている」と未着工の大型MICE施設には既に注目が集まっていると明らかにした。

 だが、県幹部の1人は「まだ建てられていない施設へのイベント誘致は難しい。イベント主催者にとって集客のリスクが高いだろう」と述べ、実際にイベントを誘致するにはまだ越えるべきハードルは多い。

 施設完成時期への影響を避けようと、県は「MICE施設の稼働率や収益を上げるような戦略をつくって(将来的に)黒字化の根拠を示す。丁寧に説明したい」と語り、早期の予算獲得へ国との調整を進める考えだ。(呉俐君)

琉球新報社

最終更新:6/24(土) 10:38
琉球新報