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オランダへの挑戦を選んだ堂安律…“未完成のレフティ”の急成長を支えた想いとは

6/24(土) 17:56配信

GOAL

5月に開催されたFIFA U-20 ワールドカップ韓国2017では4試合で3得点。10年ぶりに大舞台を踏んだU-20日本代表のエースとして存在感を見せた堂安律。今回、期限付きでの移籍が決まったオランダ1部のFCフローニンゲンを筆頭に複数の欧州クラブからオファーを受けるに至った逸材は、わずか7カ月前、世界とはおおよそかけ離れた舞台で自らへのもどかしさを口にした。

「皆、J3の舞台をきっかけにトップの舞台を目指しながら頑張っていたので、本当に一年間悔しかったです。なので、この1年間を無駄にすることなく、来年はJ1の舞台で違う姿を見せられるように頑張りたいと思います」

ガンバ大阪U-23のホーム最終節が行なわれた2016年11月13日、試合後のセレモニーでこの日のゲームキャプテンとして挨拶に立った18歳は「悔しさ」を口にした。

宇佐美貴史や井手口陽介らと同様、飛び級でトップ昇格しながらもプロ1年目の昨季はリーグ戦で3試合に途中出場したのみ。AFC U-19選手権バーレーン2016では大会MVPに選出され、アジア年間最優秀ユース選手賞も受賞した逸材だが、プロ1年目の昨季にこれっぽっちの満足感もなかった。

「このままじゃヤバい。今年は僕にとって勝負の年になる」。飛び級でトップ昇格した昨季は、高校3年生。学年だけを考えれば、本来ルーキーイヤーに相当する今季を早くも「勝負の年」と位置づけるあたりに、堂安の意識の高さが見て取れる。

急激な成長曲線を描いて来た19歳を支えるのは危機感だ。今年1月のオフに、岡崎慎司らを指導している杉本龍勇氏のもとでスピードアップに取り組んだのも、「このままでは外国人相手にドリブラーとして生きていけない」と感じたU-19アジア選手権での経験があってこそ。

技術とフィジカルは申し分のない堂安だが、攻守の切り替えと運動量が求められるガンバ大阪で、今季確かな成長を見せて来た。

今季初先発を飾った4月21日の大宮アルディージャ戦。試合前日、血気盛んな背番号38は、キッパリこう言い切った。

「モノが違うってことを明日は見せますよ」

その言葉通り、後半17分にトップでの初ゴールを左足で叩き込むと、後半32分にも追加点。長いランから、相手DFのボールをかっさらって奪った2点目は、従来の堂安になかったスタイル。ブレイクのきっかけをつかんだ堂安は、続く横浜F・マリノス戦でもハーフライン付近からゴール前に走り込み、決勝ゴールをゲットした。「なんで律があそこにいたのか分からない」と長谷川健太監督も苦笑。しかし、そんなオフ・ザ・ボールの改善が、U-20W杯のイタリア戦でチームを救った1点目のゴールにつながっていたのだ。

「昔からオン・ザ・ボールの選手でオフの動きはしなかったが、だいぶゴール前でもオフの動きが増えて来た」と話すのはU-20W杯の日本戦全てをTVでチェックした長谷川監督だ。

持ち味でもあるドリブルを活かしつつも苦手とした「使われる動き」で成長の跡を見せ始めた堂安。「ここ最近の1、2カ月で自分ももっと成長できるなと感じているし、伸びしろがさらにどうなるかと感じている」と韓国から帰国直後、U-20W杯で得た自信をこう口にしていた逸材は、同時にさらなる刺激も求めていた。

「この熱が冷めないうちに、もっと意識を上げたい」

6月16日に十代最後の誕生日を迎えたばかりの若き才能が、選んだのはオランダでの挑戦だ。FCフローニンゲンは、堂安の成長ぶりや具体的なストロングポイントを提示。戦力の一人としてオファーを出しているという。

「バクチじゃない。自分の力があると思って行くわけなので、しっかりと自信を持って行きたい」(堂安)。

未完成のレフティは、自らの更なる伸びしろを追い求め、19歳で海を渡る。

文=下薗昌記

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最終更新:6/24(土) 17:57
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