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デザインだけじゃない トータルで満足度の高い「Galaxy S8/S8+」

6/24(土) 6:25配信

ITmedia Mobile

 サムスン電子のフラグシップモデル、「Galaxy S8」と「Galaxy S8+」が6月8日に発売された。国内では、ドコモとKDDIが両機種を取り扱う。3月に米ニューヨークで発表され、その斬新な見た目が話題を呼んだこともあり、出足も好調だったようだ。家電量販店のPOSデータを集計するGfK Japanのランキングを見ると、発売初週はドコモ版のGalaxy S8+が総合ランキングで5位に、同Galaxy S8が8位につけている。

【ココが不満】

 キャリア別ランキングを見ると、ドコモはGalaxy S8+が2位、Galaxy S8が4位なのに対し、auではGalaxy S8+が4位、Galaxy S8が6位という結果となった。GfKのデータにはキャリアショップなどの販売数が含まれていないため、実態とは異なる可能性もあるが、スタートダッシュは順調だったといえるだろう。「Galaxy Note7」の焼損事故を受け、大きな痛手を負ったサムスン電子だが、こん身のフラグシップモデルで名誉挽回した格好だ。

 かく言う筆者も、ドコモ版Galaxy S8+を発売日に購入し、2週間ほど使い続けてきた。結論からいえば、未来を感じさせるデザインや高いパフォーマンス、使い勝手のよさなどがあり、トータルで満足度の高い端末だと実感している。その詳細を、KDDIから借りたGalaxy S8と合わせ、レビューしていきたい。

●Infinityディスプレイによって実現した、未来感あふれるデザイン

 Galaxy S8、S8+の魅力は、Infinityディスプレイに凝縮されていると言っても過言ではない。左右は先代の「Galaxy S7 edge」と同様、緩やかに湾曲しており、正面からだとベゼル(額縁)がほとんどないように見える。これに加え、Galaxy S8、S8+では、上下のベゼルも一気に狭くした格好だ。

 上下のベゼルにはインカメラや近接センサー、虹彩認証のための赤外線センサーなどを配置しなければならないため、さすがにベゼルレスにするのは難しいが、Galaxy S8、S8+では、それが最小限に抑えられている。インカメラやセンサー類があまり目立たないように処理されているのも好印象だ。ベゼルをそぎ落とすために、初代「Galaxy S」から脈々と受け継がれてきたホームボタンすら排除されている。

 これによって、ディスプレイを点灯させたとき、まるで画面の表示が浮かび上がっているかのように見える。もちろん、実際にはベゼルがあるため、あくまでも比喩ではあるが、他のスマートフォンと比べると、その感覚はよく分かるはずだ。サムスン電子の開発担当者は、「ディスプレイデバイスであるスマートフォンの本質に集中した」と語っていたが、目に入るノイズを、極限までそぎ落とした形に仕上がっている。この未来感あるデザインを見ると、他のスマホが過去のものに感じられてしまう。

 ディスプレイはこの機種のために開発されており、一般的な16:9ではなく、18.5:9の比率を採用。縦長にすることで、ディスプレイの面積を広げながら、横幅を抑えることに成功した。スペック上はGalaxy S8が5.8型、S8+が6.2型と大画面だが、比較的手の大きな筆者であれば、どちらも片手で持って、操作することができる。むしろ、Galaxy S8は小さいと感じるほどだ。

 もちろん、比率が異なるため、通常のスマートフォンと一概には比較することができない。ディスプレイの比率に近いコンテンツを表示させる分には確かにいいが、逆に4:3や16:9のコンテンツだと、縦が大きく余ってしまう。16:9のディスプレイを搭載したスマートフォンに置き換えると、Galaxy S8が5型前後、S8+が5.5型前後に近いサイズ感で、横幅もこれに近い。

 縦長になっているため、サイズの大きなGalaxy S8+だと指が画面上部まで届きづらいかとも思っていたが、実際に使ってみると、意外と片手でも安定して操作できる。背面にもカーブがかけられているためか、手にしっかりとフィットするためだ。

 むしろ、筆者の手にはGalaxy S8が小さく感じる。ディスプレイが大きい方が、文字を大きくできたり、映像に迫力が出たりといったメリットがあるため、Galaxy S8+を選んで正解だった。この辺の感じ方は、手のサイズやこれまで使ってきたスマートフォンによるところも大きいため、店頭でぜひ両方の実機を触ってみることをオススメしたい。

●1画面の情報量が多く、パフォーマンスも抜群

 ディスプレイが縦に伸びた分、1画面に表示できる情報量も増した。スマートフォンのアプリは、縦に持って操作することを前提で作られていることが多い。SNSアプリしかり、ブラウザしかり、メッセンジャーしかりだ。Android 7.0から標準になった画面分割機能を使う際にも、縦長の方がいい。

 アプリによっては非対応なこともあるが、強制的に18.5:9に比率を合わせることが可能だ。発売後に行われたアップデートを適用すると、非対応アプリを開いた際に、比率を画面に合わせるかどうかが表示されるようになり、さらに設定がしやすくなった。見た目だけでなく、使い勝手の面からも、このディスプレイの搭載に踏み切ったことは高く評価できる。

 Galaxyで定評があるのは、そのパフォーマンスの高さ。Galaxy S8、S8+は、どちらもプロセッサにQualcommの「Snapdragon 835」を採用しており、メモリ(RAM)も4GB搭載する。「AnTuTu Benchmark」アプリでベンチマークを取ってみたが、スコアは16万点台と好成績。もちろん、ベンチマークテストはあくまで性能の一部を切り取っただけの数値だが、実際、操作してみると、そのサクサク感には驚かされる。筆者は先代のGalaxy S7 edgeから機種変更したが、完全に別物といえる滑らかさ。アプリの立ち上がりも非常に速い。

 内蔵ストレージ(ROM)も64GBになり、1年前のGalaxy S7 edgeから倍増した。AndroidはmicroSDカードで容量を拡張できるため、必ずしも内蔵ストレージが大きい必要はないが、アプリなどでデータサイズの大きなものは増えている。筆者の場合、記者会見時などの録音データを内蔵ストレージに保存していたため、Galaxy S7 edgeでは保存容量が足りなくなっていただけに、意外とうれしいポイントだ。

 ユーザーインタフェースはAndroidの標準にやや近づいたが、細かなところまでしっかりカスタマイズされていて、使い勝手がいい。例えば、有機ELディスプレイの特性を生かした「Always On Display」はその1つ。日付や時刻、通知など、必要最低限の情報だけを常時表示してくれる機能で、スタンドなどに立てかけておくと、置き時計代わりになる。不在着信があったときに端末を持つと、ブルっと震えてくれる「スマートアラート」も、役に立つ機能だ。これらは従来モデルでも搭載されていたが、Galaxyらしい心配りの利いた機能といえる。

 カメラも非常に性能が高く、暗い場所でもキレイに写真が撮れるが、ハードウェアとしてはGalaxy S7 edgeと同じもの。1回の撮影で3枚の写真を撮って合成することで手ブレを防ぐ機能が加わっているが、基本的に画質が大きく向上いたということはない。とはいえ、もともとGalaxy S7 edgeのカメラは、スマホの中でトップクラスの性能だった。それを引き継いでいるため、大きな不満はない。Galaxy S7 edgeのときにたびたび起こった熱での撮影中断と、撮影直後の写真が保存されない不具合は、今のところ一度も起こっていない。使い勝手の面では、ストレスがなくなった印象だ。

 通信性能も向上した。最大の目玉といえるのがドコモ版のGalaxy S8+。この機種は、下り最大788MbpsのLTE Advancedをサポートしている。といっても、速度がここまで上がるのは8月以降の話。現状では、Band 42(3.5GHz帯)に使われる4×4 MIMOのアップデートが終わっていないため、下りの速度は、最大で688Mbpsだ。それでも速度は十分高い。試しに、Band 42のエリアになっている、筆者の事務所周辺で速度を測ってみたが、電波状況がいい場所だと、200Mbspを大きく超え、300Mbpsに迫る速度が出た。

 ドコモのBand 42はこれまでルーターにしか開放されておらず、スマートフォンが対応したのは夏モデルから。まだ端末が少ないため、ここまでの速度が出ているものと思われるが、Band 42に対応したモデルは夏モデルの中でも3機種だけで、広がり方は緩やかになりそうだ。もちろん、Band 42以外の3CC CAにも対応しており、ラッシュ時の地下鉄駅間のような例外を除けば、比較的混雑しがちな場所でも、今のところ快適に通信できている。

●生体認証の使い勝手は今後の課題、Bixbyの進化にも期待

 と、ここまで絶賛してきたGalaxy S8、S8+だが、生体認証には課題があると感じている。両機種とも、顔認証、虹彩認証、指紋認証の3つに対応しており、指紋認証と、顔認証か虹彩認証のどちらか1つを同時に利用できる。

 まず、他のスマートフォンでも一般的な指紋認証を試してみたが、カメラの隣にあるために、Galaxy S8+だと指が届きにくい。Galaxy S8では違和感なく触れることができたが、これは端末サイズの違いによるものだ。Galaxy S8+のみ、指紋センサーをカメラの下に配置するなど、大型ゆえの工夫がほしかった。

 指紋認証が使いづらいなら、虹彩認証か顔認証を使えばいいと思ったが、この2つも一長一短だ。虹彩認証は目の位置をきちんと合わせなければならず、持ち方がある程度固定されてしまう。一度読み取ってしまえば、あっという間にロックは解除されるものの、そこに至るまでに一呼吸置く必要があり、少々面倒だ。

 こうした欠点があるため、筆者は顔認証を使っているが、これも、暗所だと認識率が極端に低下する。インカメラを使っているため、当たり前といえば当たり前だが、成功するのを待つよりも、パターンロックを解除した方が速いのは残念なところだ。特にGalaxy S8+は、上記のように指紋認証が使いづらいため、どの方法でロックを解除していいのか、迷ってしまう。

 不便というほどでもないが、AIを活用したBixbyも、あまり役に立っていない。日本では音声操作に対応していないため、必要な情報をまとめてくれる「Bixby Home」や、カメラで情報を検索できる「Bixby Vision」が主な用途になる。Homeについては、確かにズラリと情報が並ぶが、本当に必要だと思った情報がヒットしたためしがない。Visionも、商品を認識し、そのままECサイトに飛べるのは面白いが、きちんと識別してくれないことが多い印象。仮にできたとしても、目の前にあるものを、わざわざECで買うシチュエーションに置かれることがなかなかない。

 これらの機能がソフトウェアとして内蔵されている分にはまだいいが、Galaxy S8、S8+は、音量キーの下に、専用のBixbyボタンまで搭載されている。そのため、音量を変更しようとする際に、間違って押してしまったことが何度かあった。しかも、Bixbyボタンは、割り当てるアプリを変更することができない。完全にBixby専用なのだ。ここに何か1つ、よく使うアプリを割り当てられれば逆に利便性が高まりそうなだけに、残念だと感じた。

 このように、まったく不満がないわけではないが、Galaxy S8、S8+は総じて完成度が高く、満足いく端末だというのは、冒頭で述べた通りだ。特に、他のスマートフォンを過去のものに見えてしまうデザインは、お見事の一言に尽きる。少なくとも夏モデルの中では、購入の最有力候補になりうる1台だと断言できる。

最終更新:6/24(土) 8:49
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