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500人余の戦争体験者と対話 「沖縄戦を生きぬいた人びと」 吉川麻衣子さん出版、「語り合うことに意味」

6/24(土) 21:12配信

琉球新報

 17年間にわたり、500人を超える沖縄戦体験者と対話を重ねてきた沖縄大人文学部准教授の吉川麻衣子さん(41)=臨床心理学=が、体験者の語った壮絶な記憶とそれぞれの思いを一冊の本にまとめた。

 タイトルは「沖縄戦を生きぬいた人びと」(創元社、税別1600円)。23日発行で、吉川さんは「どれだけ年月がたっても、体験者の心の傷はほとんど癒えていない。戦争がいかに愚かなことか。若い人にこそ読んでほしい」と話している。

 吉川さんは琉球大の学生だった1999年、沖縄戦体験者への面会調査を始めた。さらに2004年からは、体験者同士が自身の経験や思いを語り合う場を県内7地域に設けた。月1回、3時間。合わせて77人が参加した。

 沖縄戦で家族全員を失った上、スパイ容疑で「拷問」を受けた女性は「戦争に人を信じる心を奪われた」と涙声で話した。自身の体験をずっと語ることができず、語り合いに参加して5年後、初めて口にできた人もいた。体験を聞いた後、半時間近く沈黙が続くこともあった。

 吉川さんは「『語る』ではなく『語り合う』ことに大きな意味があった。つらい思いをしたのは自分一人じゃなかった、と安心感を得て、人生を肯定できるようになった人もいる」と話す。参加者の高齢化から、語らいの場は年内で全て解散する。吉川さんは現在、体験者一人一人の自分史をまとめているという。

琉球新報社

最終更新:6/24(土) 21:12
琉球新報