ここから本文です

【佐藤優コラム】テロ防止のため公安警察は厳しい取り締まりを

6/25(日) 12:03配信

スポーツ報知

 15日、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が成立した。残念ながら、この法律は政争の具とされてしまったために、真剣な議論ができなかった。有識者もマスメディアも、安倍政権を支持するか否かという観点からポジション・トークをしていたように思えてならない。

 重要なのは脅威の性質が変化していることだ。従来の共産主義系の過激派を構成する人々は、暴力を行使して国家権力を奪取すべきという思想を持っている。そして党派機関紙でそのような過激な思想を表明する。しかし、このような思想の表明と暴力主義的破壊活動の実践との間には距離がある。

 しかし、イスラム教スンニ派系過激派「イスラム国」(IS)のテロリストの場合、暴力やテロによってカリフ帝国(イスラム帝国)を建設しようとする過激思想が即実践になる。それだから、有効なテロ対策を行うためには、捜査当局がテロ活動につながる過激な思想を観察する必要がある。従来の国家は、個人の内心に踏み込まないという原則と相いれない状況が生じうる。特にインターネット空間で、テロを支持するような発信を継続的に行っている人々の思想を公安警察が調査することなしにテロ防止はできない。このような現実を政府はもっと正直に説明すべきだ。

 そもそも、「日本でテロが起きるか否か」という問題設定が間違えている。残念ながら、日本でもテロは起きる。このテロは、現時点でISやイスラム系のテロを擁護する発言をし、ジハード(聖戦)戦士としてシリアのIS支配領域に渡った経験を誇示する人々の周辺で起きる蓋然性が高い。

 「テロ等準備罪」を制定したのであるから、現実の運用でもテロ活動を防止するための具体的な動きを公安警察が行うことが重要だ。職業的良心に基づいて、テロを未然に防止するための取り締まりを公安警察が厳しく行うことに期待する。(作家、元外務省主任分析官)

最終更新:6/25(日) 12:05
スポーツ報知