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日欧EPA 一部ソフトチーズ関税 引き下げ案浮上

6/24(土) 7:01配信

日本農業新聞

 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉で、チーズの関税区分を細分化して一部品目について輸入関税を引き下げる案が政府内で浮上していることが23日、分かった。国産品と競合しにくい品目を切り分けて市場開放に応じる一方、カマンベールやモッツァレラといった国産と競合するソフトチーズは極力、国境措置を維持する戦略とみられる。ただ、幅広い品目で関税撤廃を求めるEUに対し、日本は現行の関税区分では守り切れないところまで追い込まれているとも言える。国産への影響を回避できるかは不透明で、慎重な対応が必要だ。

 日本は、輸入関税をかける対象品目を示すタリフライン(関税区分の細目)を9桁の数字で分類している。上6桁は世界共通だが、それ以下は各国が設定できる。日本は現在、チーズを10の区分に分けているが、政府はこれを細分化し、チーズの種類ごとに設定することなどを検討している。

 現在はソフト系のカマンベールチーズなどと、ハード系のゴーダチーズやチェダーチーズなどを「その他のチーズ」というタリフラインでひとくくりにし、同じ29.8%の関税をかけている。

 環太平洋連携協定(TPP)で日本は、この「その他のチーズ」の区分は変えなかったが、ソフト系は現状維持、ハード系は発効後16年目の関税撤廃と対応を分けた。

 今回はタリフラインそのものの細分化も視野に入れる。EUはチーズの競争力が強いため、種類ごとに対応を検討し、国内への影響を最小限に食い止めたい考えだ。また、国産品やEU以外からの輸入が少ないブルーチーズなどでは、TPPを超える関税削減に踏み切る可能性もある。

 ただ、EUはソフト系に加えてハード系の競争力も強い。安易にハード系チーズの関税撤廃に応じ、高品質で低価格なEU産チーズが流入すれば、国産原料の仕向け先になっているプロセスチーズなどの需要を奪われ、生乳需給に影響する恐れもある。ハード系で譲歩したTPP合意でも、農水省は「チェダー、ゴーダなどに競合する国産チーズ向け生乳の価格は、輸入品価格まで下落、または関税削減相当分下落」と指摘していた。

 同省によると、チーズの消費量は2015年で32万トンと前年から7%以上増加したが、国産割合は2割にとどまる。欧州に比べて国内のチーズ産業は発展途上なだけに十分な配慮が欠かせない。

日本農業新聞

最終更新:6/24(土) 7:01
日本農業新聞