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基本はスペーシング、時折ボール。初の日本代表「7」に松橋は「勢い殺す」。

6/24(土) 9:34配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 6月17日、静岡・エコパスタジアム。アイルランド代表に22-50と屈した日本代表にあって、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「選手に貪欲さがなかったら大問題」と残念がった。

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 選手個々としては必死に戦ったであろうなか、複雑な心境を明かすのは松橋周平だ。後半13分から出場したこの日を振り返り、先発する次戦をこう見据える。

「いい準備はしていたと思うんですけど…。その準備に、あの結果がついてきた。となると、そこ(準備内容)に原因がある。先週も気持ちが入っていないわけではなかったですけど、今週は自分たちの反省を活かしていきたい」

 身長180センチ、体重99キロの23歳。一線級のFW第3列としては決して大柄ではないが、相手の腰元を貫く突進とタックルで魅す。リコーに入社した前年度は、国内トップリーグで新人賞を受賞。今季はジャパンと連携を図るサンウルブズに加わり、国際リーグのスーパーラグビーでここまで7試合に出場している。

 今度は、FL(7番)としてはテストマッチ初先発となる。大量失点の阻止が期待される日本代表にあって、自らの役割をこう話していた。

「今回はディフェンスで相手の勢いを殺すというもの(役割)がある。僕が強いブレイクダウンで勢いを殺す(球の出どころで激しく戦う)。それをこちらのいいディフェンスにつなげたい」

 効果的な防御のために意識するのが、相手ボールの密集戦での動きだ。

 チームは当日に向け都内でキャンプを張ってきたが、それまでの練習メニューにマイナーチェンジを加えた。そこには、「貪欲さ」を具体的に示す意志があったか。

 実戦形式トレーニングの合間などに、複数名の選手がルーズボールへ飛び込むメニューがなされた。そのメニューにおいては、ボールを確保した以外の選手はボールの真上のスペースに身体を入れる。この動きも、本番を見据えてのものだろう。

 地面上で相手の球へかみつく際、芝に膝をついたままでは反則と見なされる。ピンチを最小限に止めるには、順法精神を維持しながら相手の球の出だしを遅らせたい…。ボールの真上へのチャレンジには、その意図が見え隠れする。ブレイクダウンでの奮闘が期待される松橋は、この動きを「スペーシングへ行くイメージはある」と解説する。

 もっともただ守っているだけでは、前回22得点を挙げた攻撃機会を増やせぬままだ。例えば相手のサポートがおらず、明らかに自立した状態で球を目にすれば、ボールに手をかけるのも手ではある。松橋はそう考え、ジャッカル(接点で相手の球を奪うプレー)への意欲も語っていた。

「時と場合によっては、ジャッカルも必要になる。基本はスペーシングで行きますけど、絶対にボールを獲れる時は…。それを見極め、いい判断をしていきたいです」

 17日の試合でも、松橋は自陣ゴール前で好ジャッカルに成功。「あの場面では、もっとポジティブな(前に出る)タックルができたらスペーシングに行っていた。ただ、ネガティブ(やや差し込まれていた)だった。すぐ(その場から立ち上がって)ジャッカルに切り替えました」。24日もチームの規律を順守しながら、要所で好判断を下したい。

 改めて、ボスの指摘する精神的側面についても言及する。

「相手は常にスイッチオンしていましたが、僕らにはスイッチオフになっているシーンも多かった。その差は、あの点差につながっている。逆に、そこさえ埋められればもっといい試合ができるし、アイルランド代表も苦戦する」

 今度の試合で登録されたFW第3列の選手のなかでは最も小柄となる、背番号「7」。気持ちを込めつつ、スマートに戦う。

(文:向 風見也)