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死ぬまでに一度は見たい「雲海」~奇跡の景色とは?

6/24(土) 11:30配信

TOKYO FM+

世界中に絶景は数多くありますが、中でも神々の世界を垣間見たような気持ちにさせてくれる絶景といえば「雲海」ではないでしょうか。でも、なかなか山頂まで行くのは……と思っている方。場所によっては道中のクルマからや高いビルの上から雲海を見られることもあるそうですよ。ということで、今回は「雲海」の名所や楽しみ方を、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えてもらいました!

◆「雲海が見せる奇跡の景色とは」
~女優 市毛良枝さん

── 市毛さんは昔から登山好きだったんですか?

いえいえ、私はもともと体育会系の人全般が苦手なインドア派でした(笑)。それがあるとき、山の話をしてくれた方がいて、社交辞令で「今度、誘って下さい」なんて軽い気持ちで言ったんです。そうしたらその人に「いつにしましょう?」と言われてしまったのが最初でした。

その人は「ハイキング程度だから」と言うんですけど、予定に《山小屋泊まり》と書いてあって不思議に思っていたら、北アルプスの三大急登に数えられる合戦尾根から燕岳(つばくろだけ)を登ることに。当時はそんなことは知らないので、フラフラになりながらずっと「これは嘘だ……」と思って歩きました。

でもなんとか辿り着いた燕岳の山頂で、私はブロッケン現象を見てしまったんです。これは雲海に自分の影が虹の輪を背負って映し出される現象で、その不思議な光景は神々しいとしか言いようがありませんでした。めったに見られない現象なんですが、それを初登山で見てしまったのが運の尽き(?)。山を下りた頃には「次はどこに連れてってもらえるだろう」と思うようになっていました。

── 登山で雲の上に出るってどんな感覚なんでしょう?

山を登っていると雨や霧の中を歩くことがよくあります。そしてしばらく登っているうちに晴れてきたと思ってふと振り返ると、自分の下に雲があったりするんです。つまり、それまでずっと雲の中を歩いていて、自分が雲の上に来ただけなんですね。雲の中にいる、そしてそこから抜けるということは、普段の天気の変わり目によく似た感覚です。

逆に言えば麓から山を見たときに、中腹が雲で隠れていて山頂付近はよく見えたりする場合は、その雲の高さまでは雨で、その上は晴れているということがわかります。そんなことを想像しながら雲を眺めると、景色の楽しみ方も変わってきますよ。

大分県の湯布院みたいに観光地で雲海の名所になっている場所もありますが、山の上から見る雲海はやっぱり別格ですね。北アルプスの常念岳を登っていたら、雲を抜けた途端に真っ白な雪景色が広がっていたこともありました。9月の初め頃の夏山だったんですが、その日がたまたま初雪だったんです。翌朝に見た初雪と雲海と日の出がひとつになった景色には、ただただ感動しかありませんでした。


◆「雲海の発生を予測しよう!」
~(株)ウェザーニューズ 取締役 森田清輝さん

── 雲海ってどんな現象なんですか?

雲海は雲をちょっと高いところから見たときの状態です。雲が広がって海のように見えることから雲海と呼ばれます。ですから、雲海が見られる条件としては、雲ができること。そして風がなくてその雲があまり動かないことです。この2つの条件が揃うと、きれいな雲海が見られます。

雲海は雲のでき方でいくつかの種類に分類できます。たとえばとても広い範囲にできる雲海は、朝方に放射冷却で気温が下がったとき、水蒸気が水の粒に変わって霧になることで生まれるんです。こういう雲海は盆地でよく見られます。盆地は周囲の山が風をさえぎる衝立の役割を果たすうえに、生まれた雲も逃げ場がないのでどんどん厚みを増していき、雄大な雲海になるんです。そして盆地の中に小高い山があって、その上にお城があったりすると、雲の上に浮かぶ城として雲海の名所になっているケースが多いですね。有名な竹田城もそうです。

── そのほかに、どんな雲海のでき方がありますか?

低気圧が近づいて前線ができるようなときも雲海は生まれます。こういう雲海は夏になる前、梅雨の手前頃が多いですね。その理由は「気温が下がる」という条件があるからです。気温が上がってしまうと水の粒が水蒸気に戻ってしまうので、そこが雲海を見られるか見られないかの境目になります。

地形に関しては、山の斜面でも雲海は見られます。山の斜面に空気がぶつかり、斜面に沿って上がっていくと、温度が下がって雲ができるんです。ですから、なだらかな斜面があるところでは雲や霧が多くなり、それが雲海になることもあるんですね。このタイプの雲海は盆地と逆にある程度の風が山に当たらないと生まれません。

── 高い山の上じゃなくても雲海を見ることはできるんですか?

秋、前日に雨が降り、町の中が濡れて湿度が高い状態になったとき、低気圧が抜けて高気圧に覆われると、朝方の放射冷却で湿った空気がどんどん霧に変わっていきます。この霧は低いところで発生するので、100mくらいあるビルから見下ろすと町を包む雲海が見られることもありますね。

こんな雲海が生まれる条件がわかっていれば、天気予報を見て「明日の朝は雲海が見られるかもしれない」ということが予想できます。けっこう高い確率で予測できますので、ぜひ狙ってみて下さい。


◆「富士山と雲海の写真を撮るには」
~写真登山家 山下茂樹さん

── 雲海の写真はどんな場所で撮れますか?

雲海の写真は基本的に標高の高いところから撮るので、林道なら日本中どこでも可能性があります。時間帯は夜明け前から午前8~9時までが多いですね。たまに夕方に出ることもありますが、写真を狙うのでしたら朝に限ります。

特に富士山は山頂がきれいに見えるのが黎明から夜明けにかけてです。太陽が出ると雲海に光がさして、より躍動的でドラマティックな写真が撮れます。写真に撮ると、自分の肉眼では見えなかった色が現れることもありますよ。肉眼ではグレーや薄い色にしか見えなかった部分が、デジタルカメラで撮るとオレンジやグリーンやイエローになったりするんです。

── 技術的なコツがあったら教えていただけないでしょうか。

カメラ任せのオート撮影でも良いのですが、私は雲海を撮るときはバルブ(長時間露光)撮影でいろんな色を試しています。自分自身で明るく撮ったり暗く撮ったり調節できるので、「今回はどんな色が出るだろう」と楽しみながら撮っているんです。

また、太陽は東から昇るので、雲海を撮るときは東に向かってカメラを構えて太陽のほうを撮ります。これは太陽の光を浴びた雲が朝焼けになるからです。その構図に富士山を収めるなら、たとえば河口湖の上の御坂峠ですね。ここなら道が整備されているのでクルマで行けますし、雪が降っても除雪しているので冬でも撮影できます。

── 富士山と雲海の写真はぜひ撮ってみたいです!

富士山の周辺はいろいろな高さから撮影できます。低いところでは櫛形林道、丸山林道、猪之頭林道。2500mくらいまでの山だと国師岳、金峰山、朝日岳。さらに2500m超の鳳凰三山と呼ばれる地蔵岳・観音岳・薬師岳。南アルプスへ行けば北岳をはじめ赤岳、塩見岳、聖岳、小河内岳、千枚岳など、本当にいろんな高さから撮れます。

山中湖の「平野の浜」は雲海が出ていると富士山が見えないのですが、ちょっと上がったところのパノラマ台まで行けば、富士山の頂上が雲海の上に顔を出していることもあります。御坂峠も富士山が見えなかったら、もうひとつ上の新道峠からなら見えたりしますよ。

私が好きなのは長野県の高ボッチ高原です。ここは下が諏訪湖なんですが、雲海越しに見える町の灯りが色とりどりでとても幻想的で、さらに遠くの富士山が見えたら最高です。もしスマホのカメラで雲海を撮るのでしたら、できるだけ広角にして雄大な風景を撮ってみて下さい。

(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」6月17日放送より)

最終更新:6/24(土) 11:30
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