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「ガス終息まで数年」 温地研が研究成果を発表 

6/24(土) 8:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 小田原を拠点に活火山・箱根山(箱根町)の状況や県内の地震活動を監視している県温泉地学研究所の研究成果発表会が23日、小田原市本町の市民会館であった。箱根山の現状について「地震活動は低下し、2016年は群発地震(1時間に10回以上)もなかった」と報告する一方、「火山ガスが落ち着いた状況に戻るまで、あと数年はかかるのではないか」との見方も明らかにした。

 本間直樹火山対策調整官は16年中の箱根山での地震活動を概観し、「噴火があり地震が急激に増加した15年に比べれば圧倒的に静かで、発生回数は活発化以前の14年と同程度だった」と説明。今年4月と5月に大涌谷からやや離れた金時山周辺で一時的に地震が増加したものの、「カルデラの外で起きており、火山活動には直接関係ない」との見解を示した。

 ただ大涌谷では、火口などから噴出する蒸気の勢いが弱まっておらず、火山ガスの濃度も安全なレベルにまで低下していない。

 この点に関し、東海大学などと共同で観測を続ける代田寧主任研究員は「ガス中の二酸化硫黄(SO2)などの濃度は低下傾向だが、活発化前の状況にはまだ戻っていない」と指摘。15年に匹敵するような大規模な活動が起きた01年の後も「ガスの状態が落ち着くまでに4~5年ほどかかった」などとし、影響が長期化する可能性を示唆した。

 「自然災害と恵み」と題して講演した里村幹夫所長は、噴火という脅威の一方で温泉や景観などの恩恵をもたらす火山を例に挙げ、「災害と恵みは裏腹。どちらか一方ではなく、両面を見ていくべきだ」と強調した。災害に対する備えの意識が定着しない状況の改善に向け、「災害がいかに恐ろしいかを伝える『脅しの防災』では長続きしない。暗いイメージのある防災だけでなく、明るい印象の恵みとともに自然を考えることが必要」と発想の転換を説いた。