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県内初 人工心臓治療成功 富山大附属病院、重い疾患 全国2例目

6/24(土) 5:00配信

北日本新聞

 富山大附属病院(富山市杉谷、齋藤滋院長)は23日、県内で初めて、補助人工心臓による治療を成功させたと発表した。患者は、先天性の重い心臓疾患「完全大血管転位症」を患う富山市の30歳代前半の女性で、同疾患の補助人工心臓治療としては全国2例目。4月に装着手術を実施し、現在はリハビリを行っている。

 補助人工心臓は、心不全に陥った心臓の代わりに血液循環のためのポンプ機能を補う医療機器。体の外側にポンプを置く「体外設置型」と、体内に置く「植え込み型」がある。県内には手術を行う医療機関がなく、患者は東京や大阪などへ赴く必要があった。

 富山大附属病院は、前任地の東大病院で人工心臓治療の豊富な経験がある第二内科の絹川弘一郎教授(54)と、ドイツで実績を積んだ第一外科の深原一晃准教授(51)を中心に、まずは体外設置型の導入に向け準備を進めてきた。

 女性が患う完全大血管転位症は、大動脈と肺動脈が通常とは逆の心室につながり、治療しないと死に至る。通常、全身に血液を送り出す働きをするのは左心室だが、女性の場合はその役割を右心室が担っており、負荷がかかって慢性の心不全に陥っていた。

 今年4月、女性はインフルエンザにかかり、心臓の機能が急激に低下した。全身に血液が回らずショック状態になったため、同月3日夜~翌4日未明に約6時間かけて体外設置型の補助人工心臓を装着する緊急手術を実施。術後は、徐々に回復している。

 体外設置型は院内でしか使えないため、女性は在宅生活が可能な植え込み型への移行を目標にリハビリを続けている。5月末には心臓移植希望登録を行った。同病院は、植え込み型の実施施設認定も目指している。

 同日会見した執刀医の深原准教授は「非常に難しい症例だったが、内科と外科が力を合わせて何とか回復させることができた」と説明。絹川教授は「第一歩でホッとしているが、今後次々と患者を受け入れていかないといけない。ゴールは先だ」と述べた。

 同病院は今年1月、循環器に関連する各部門を束ねて「循環器センター」を開設させたことから、齋藤院長は「連携がうまくいった。スタッフを誇りに思う」と話した。

 県移植推進財団の移植コーディネーター、高橋絹代さん(55)は「富山の患者は治療のために居住地を変える必要がなくなり、大きなメリットになる」と指摘した。

北日本新聞社

最終更新:6/24(土) 5:00
北日本新聞