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ドライブは映画を見るためのプロローグ…フィガロドライブイン・シアター開催

6/25(日) 7:30配信

レスポンス

1950年代から60年代にアメリカで流行したドライブイン・シアター。それがいま再び注目を集めているという。

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マイカーでドライブ、巨大なスクリーンを設けた駐車場に愛車を停めて、乗車したまま映画を楽しむ。実にアメリカらしい大胆かつスケールの大きなタイプのシアターは、1990年代には日本でも各地に登場し、若者のデートや家族のお出かけとしても人気を博した。しかし時代の移ろいとともに衰退。2010年に、最後に残ったドライブイン・シアターであった大磯プリンスホテルでの上映も幕を下ろし他のを最後に姿を消していたのだ。

しかし、当時を懐かしみ、映画を愛する人たちの間で、最近にわかに注目を集めているのだという。豊かなライフスタイルを提案し紹介している雑誌『フィガロ・ジャポン』が6月23・24日の2日間、神奈川県の大磯プリンスホテルロングビーチ駐車場でドライブイン・シアターを開いた。読者を招いて、かつては日本でも体験できた、しかし今はかなわない映画の楽しみ方を味わおうというイベントだ。

シアターでは、映画に関するコンテンツでも定評があり、ファンも多く抱える『フィガロ』が選んだ、夏にぴったりの作品を2本チョイス、一夜ずつ上映する。事前に参加希望者を募集し、抽選で選ばれた参加者は、カップルや家族づれなど様々。その中には、かつて日本でもドライブイン・シアターが数多く存在したころに体験していて、その時が懐かしくて参加したという人も少なくない。

上映に先駆けてWOWOWの映画番組「映画工房」に出演されている斎藤工さん、板谷由夏さんを招いてのトークショーもあり「デートにピッタリの映画とは」「ドライブインシアターの魅力とは」といったトークが繰り広げられた。

「とても広いのにとても近い。クルマという狭い空間にいながら、大きなスクリーンで映画を見ると、2人の距離もぐっと近づくのでは」と斎藤工さん。「後味のさっぱりした、音楽なども楽しめる作品がドライブイン・シアターで見る映画には向いているかも。帰り道に共感しあえるのがいいと思う」と板谷由夏さん。言葉の端々から映画への愛情があふれるトークに参加者はみな聞き入っていた。

「その点、今回の作品は2本ともとてもピッタリだと思う」と登壇者も声をそろえ、また作品の選者である『フィガロ・ジャポン』の森田聖美副編集長も自信をもって来場者に紹介する上映作品は、23日が「シング・ストリート未来への歌」、24日が「ムーラン・ルージュ」だ。

イベント主催者は「クルマ趣味とは違いますが、クルマで出かける先の一つとして映画が選ばれるようになればと」話す。今回も不特定多数に向けたイベントではなく、映画興行でもないし、今後の定期開催が予定されているわけではないとしながらも「今回の上映に使用したスクリーンはドイツから持ち込まれたもので、日本にとどまる予定なので、もしかするとこういうものも活用しながらドライブイン・シアターがまた増えたらいいのではないか」と上映前のトークショーの中でも紹介された。

かつてのドライブインシアターでは固定式のスクリーンや、大型のトラックやトレーラーの荷台がスクリーンになっているタイプのものがあったが、今回会場にあったスクリーンは、それらよりもさらに大型でエアで膨らませるタイプであった。

ハイブリッドカーやアイドリングストップ機能の普及もあって、バッテリーの容量は昔とは比べ物にならないほど一般化した。エンジンを止めて音声は車内のラジオから。クルマによっては止めたままエアコンもかけられる車種だってある。ドライブイン・シアターは、むしろ今のクルマの方が、かつてのクルマよりも向いているのかもしれない。

会場となった大磯プリンスホテル ロングビーチの駐車場では、徐々に集まる参加者が、思い思いにゆっくりと日が暮れる初夏の湘南の夕暮れを満喫していた。上映前後も満喫できる映画の愉しみ。ドライブの目的に「映画鑑賞」という時代が再び訪れることを、参加者の多くが心待ちにしているようだった。

《レスポンス 中込健太郎》

最終更新:6/25(日) 7:30
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