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月収「70万円の会社員」と「500万円の社長」 年金額が変わらない理由

6/25(日) 13:47配信

ZUU online

毎月支払っている年金保険料は決して少なくない金額だ。年金保険は国内の20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられており、会社員の場合は、年金保険料が給与天引きされるので、どうしても支払っていることに無自覚になりがちだ。そのためだろうか、年金制度については意外に知られていないことが多いようだ。ここではそのようなポイントについて紹介する。(※年金制度は2017年6月現在)

■月収70万円と500万円、将来もらえる年金額が変わらない理由

会社員が加入している厚生年金の受取り金額は、加入期間と生年月日、平均給与額(2003年4月からは賞与も含む)をもとに計算して決まる。年金額の計算に用いる給与額は、入社時、厚生年金に加入してから退職するまでの給与の平均額がもとだが、2003年3月までは、給与のみの平均で「平均標準報酬月額」、2003年4月からは給与と賞与を平均した「平均標準報酬額」を用いている。一言で言うと、給与と賞与が多ければ受取る年金額も多くなる計算なのだが、実は上限がある。理由は、標準報酬額の決め方だ。

標準報酬月額とは、社会保険料の計算のため、実際の給与の月額を便宜上区切りのよい幅で同一金額とするもの。毎年1回、7月にその年の4、5、6月の給与の平均額で決まり、大幅な給与の増減が無い限り、8月から翌年9月までの1年間固定される。

<表1(日本年金機構) ※表は関連リンクより確認いただけます>

そのため、たとえば4~6月の平均月収が45万円なら、25等級の42万5000円~45万5000円の幅に入り、標準報酬月額は44万円となる。厚生年金保険料の料率は、一般の被保険者は18.182%なので8万円だが、保険料は労使折半のため給与天引きされるのは4万円となる。

では、月収が70万円だったらいくらだろうか。表を確認してみると、最も高額な枠は31等級の60万5000円以上、標準報酬月額62万円だ。つまり月収が60万5000円以上なら、70万円でも500万円でも同じ、62万円として扱われることがわかる。

受取る年金額も、標準報酬月額をもとに計算しているので、月収が70万円と500万円で年金額が同じになる理由はここにある。支払った保険料も同じ金額なので、月収500万円の社長が損をしているわけではない。

しかし、老後の年金が現役時代の収入に比べると、かなり少額になってしまうことは否めない。年金の上乗せをしておくなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)も検討したい。厚生年金と同様に掛金が全額所得控除になり、運用益に対しても非課税。受取るときにも公的年金控除の対象になるので、まさに公的年金の上乗せとして最適な方法だろう。

■遺族年金の受給条件は、国民年金と厚生年金で違いがある

さて、公的年金の保障は老齢年金だけではない。加入者が死亡した場合、遺族が受取れる遺族年金がある。公的年金には国民年金と厚生年金があるが、それぞれ受け取れる条件が異なっている。

自営業者などが加入している国民年金では、子供のいる配偶者が遺族基礎年金を受け取れる。子供とは、18歳の年度末までの子供のことで、一般的に高校卒業までの期間だ。または、障害者の子の場合は20歳未満になる。受取れる金額は、78万100円+子の加算だ。子の加算額は、子供2人までは1人につき22万4500円。3人目以降は1人につき7万4800円だ。国民年金の遺族年金は、子供がいないと受取れないので、子供のいない専業主婦は夫の死亡保障は手厚いほうが安心だろう。

遺族基礎年金を受取れなくても、保険料を納めた期間が3年以上あった人が亡くなったら、納付期間に応じて12万円~32万円の死亡一時金も受け取れる。こちらは、遺族(配偶者・子供など)であれば受け取れるので、万一の場合に備えて覚えておきたい制度だ。

厚生年金の場合は、子供がなくても受け取れるが、亡くなった人の厚生年金額の4分の3だ。ただし、子供のいない30歳未満の妻が遺族厚生年金を受取る場合は、5年間で打ち切りになることには注意しておこう。

■うつ病やがんでも障害年金を受取れる場合がある

公的年金のもうひとつの給付、障害年金についても意外なポイントをチェックしよう。障害年金は一定の障害状態にあり、国民年金に加入中に初診日があることが必要。また、当たり前だが保険料はきちんと納めていないと受取れない。

障害等級の例は以下の通りだが、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害やがんなどの内部障害も対象になる。

<表2 ※表は関連リンクより確認いただけます>

国民年金から受取れるのは、障害1級で年額97万5125円+子の加算。障害2級は年額78万100円+子の加算だ。(子の加算額は遺族年金と同額)厚生年金に加入していた人は、1、2級の場合は国民年金と厚生年金の両方から年金が受取れる。また、3級の場合や、より軽い障害の場合には一時金が受取れる。なお、障害年金は収入に関する条件は無いので、仕事をしていても受取れることは意外に知られていない。

公的年金は申請をしないと受け取れない。また、制度はたびたび改正される。知らなかったことで損をしないよう、情報は常にアップデートしておこう。

タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録FPパートナー

最終更新:6/25(日) 13:47
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