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米国で「自動車販売の低迷」を招いた2つの理由 トランポノミクスへの期待もはく落

6/25(日) 17:40配信

ZUU online

2017年の米国経済は「トランポノミクス」による高成長が期待されたが、これまでのところは見込みが外れている。2017年前半の米経済を振り返りつつ、ポイントを整理して年後半を展望してみよう。

■昨年末は「夢の高成長」が期待されていたが…

2017年1~3月期の米GDP成長率は、前期比年率1.2%と2016年の1.6%に続き低い伸びにとどまった。成長の足かせとなったのは「自動車の販売不振」による個人消費の失速だ。米新車販売台数は5月まで5カ月連続で前年割れとなっており、2017年は8年ぶりに減少に転じる見通しで、先行きも芳しくない。

米自動車業界は現在、「リース契約切れ」と「ローン遅延率上昇」という2つの構造的な問題を抱えている。この2つの構造的問題が販売不振の理由である。

米新車販売に占めるリース比率は30%を超えており、過去5年でほぼ倍増している。だが、リース期間は通常2~3年であり、リース販売増加の「副作用」としてリースの切れたクルマが大量に中古車市場に流れ込み、飽和状態となっている。

リース料は契約終了後の予想再販価格から逆算して決められているが、中古車価格が下落していることから、実際の再販価格が予想を下回っており、その分だけ自動車メーカーが損失を被っている。

加えて、自動車ローンの遅延率も上昇している。この影響で、金融機関の貸し渋りが顕在化しており、販売不振に拍車をかけている。ちなみに、今年1~3月期における自動車ローンの「90日以上の遅延率」は3.8%へと上昇し、4年ぶりの高水準となった。特に、信用力の低いサブプライム層での遅延率が顕著で、金融機関はこの層への融資基準を引き締めている。

中古車価格が値崩れしている影響で担保価値が下がり、債権の回収率が低下していることも「融資の厳格化」に拍車をかけている。

こうした状況が短期間で改善するとは考えづらく、影響は長期化する恐れがある。したがって、年後半の個人消費も力強さを欠くことになるだろう。

■労働生産性の低下を懸念、悪循環を招く恐れも

ところで、労働生産性の低下は全世界共通の悩みの種だが、米国も例外ではなく、長期的な懸念材料となっている。

米労働生産性の過去5年平均は年率換算で0.6%上昇と1947年から2016年までの長期平均となる2.1%を大きく下回っている。生産性の低下が低成長を招いているのではないかと危惧される中、1~3月期の労働生産性も前期比横ばいと振るわず、引き続き成長の阻害要因となっている模様だ。

生産性の伸び悩みは企業の投資意欲を削ぐほか、雇用拡大にもブレーキをかける恐れがある。雇用の鈍化で需要が低下すれば投資はさらに低下することになり、悪循環に陥るリスクもある。

このほか、インフレ率や賃金の伸びが鈍化している点も気がかりだ。5月のCPI(米消費者物価指数)は前年同月比1.9%上昇と2月の2.7%上昇から3カ月連続で低下しおり、変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数も5月は1.7%上昇と4カ月連続で低下している。インフレ率の低下は経済活動が不活発であることを示唆しており、賃金の伸びが鈍化していることも踏まえると、個人消費の減速が自動車以外にも広がる恐れがある。

■景気後退のサインはうかがえず、波乱は海外要因か

米国経済は低成長・低インフレの状態にあるが、目先的な景気後退リスクは低い。たとえば、景気後退のサインとして、雇用者数の3カ月平均が減少に転じる、全米活動指数の3カ月平均がマイナス0.7を下回る、景気先行指数が前年同月を下回る……などが知られているが、いずれもその徴候が見られないからだ。

米雇用者数は5月までの3カ月平均が12万1000人増と増勢は鈍化しているものの、減少に転じるにはまだ余裕がある。全米活動指数は4月までの3カ月平均がプラス0.23である。プラスは5カ月連続で過去1年については緩やかな上昇トレンドを示しており、先行きが暗いわけではない。景気先行指数も4月まで6カ月連続で前年水準を上回っている。

こうした状況を踏まえると、年後半に景気後退が起こる確率はかなり低いと考えて良さそうだ。したがって、リスクは国内ではなく海外ということになりそうで、欧州での政治的混乱や中国の不良債権問題、中東での地政学的リスクなどに注意が必要となりそうだ。

■トランプ政権の混乱で期待もはく落

FRB(米連邦準備制度理事会)は1~3月期の低成長を一時的としている。しかし、5月の米経済指標を見ると鉱工業生産指数は前月比横ばい、小売売上高は前月比0.3%減、住宅着工件数は年率換算で前月比5.5%減と、軒並み冴えない数字が並んでおり、一時的かどうかは疑わしくなっている。

ニューヨーク連銀が公表しているナウキャスト(6月16日現在)は、米GDP成長率を4~6月期は1.9%、7~9月期は1.5%と予想しており、低成長が継続するリスクは決して小さくはない。

ただし、冴えない景気が「息の長い景気拡大」をもたらしている面もある。低成長が続いていることで、過剰消費や過剰投資といった景気後退につながるような歪みが現在の米国経済には確認できないからだ。

ところで、トランプ大統領の公約の柱である「米国史上最大」のインフラ投資はまったくと言っていいほど話が進んでいない。実施は早くても来年以降となり、仮に実施されたとしても公約にあるような規模にはならない見通しだ。

トランプ政権はロシア疑惑などから混乱が続いており、「トランポノミクス」への期待がはく落しつつあることも年後半の米景気見通しに暗い影を落としている。(NY在住ジャーナリスト、スーザン・グリーン)

最終更新:6/25(日) 17:40
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