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ROEの高い会社は「良い会社」なのか?

6/25(日) 22:10配信

投信1

6月18日の日経新聞は、「企業体力 喜べぬ最高 効率、世界標準に見劣り」という記事を掲載しています。1982年度と昨年度を比較すると、自己資本比率が20%から40%に倍増している一方、ROE(株主資本利益率)は9%のままであることが問題だ、としているのです。本当にこれは問題なのか、考えてみました。

ROAは82年比倍増している

最初に経済初心者向けの解説ですが、ROA(Return on Asset)は総資産利益率といって、利益額を総資産(バランスシートの左側)で割った値です。ROE(Return on Equity)は株主資本利益率といって、利益額を株主資本(バランスシートの右下部分)で割った値です。

上記記事の数値をもとに、実際の企業の姿を想像してみましょう。総資産は100億円のまま一定で推移したとします。82年度の自己資本は20億円で、ROEが9%なので利益額は1.8億円、ROAは1.8%だったことがわかります。

昨年度は、自己資本が40億円で、ROEが9%なので、利益額は3.6億円、ROAは3.6%だったことがわかります。ROAは2倍になっているのです。

ROAを上げるのは経営者、ROEを上げるのは財務担当者

ROAを上げるのは、大変なことです。競争力のある製品を作る、業務の効率化を図る、等々の努力や工夫が必要だからです。一方で、ROEを上げるだけなら簡単です。財務担当者が銀行から借金をして、それを配当として株主に配れば良いのですから。

以下、税金と金利のことは考えないことにして、上記の数値例を使うとすれば、20億円を借りて、それを配当してしまえば、資産(100億円)と利益(3.6億円)は変わらずに、負債が80億円、資本が20億円になりますから、ROEは18%になります。さらに19億円借りて、それを配当すれば、資本が1億円になりますから、ROEは360%になります(笑)。

実際には、銀行が19億円も貸してくれるとは思われませんが、仮に借りられたとすれば、それは素晴らしい会社でしょうか?  わずか2億円の損失を出しただけで倒産してしまう会社でも? 

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最終更新:7/6(木) 1:10
投信1