ここから本文です

55歳からの砂漠マラソン(2)地獄へようこそ!

6/25(日) 8:00配信

ホウドウキョク

レースの全行程は250キロ。6つのステージに分けて行われ、各ステージの合計タイムで順位を争う。初日から3日目の第1から第3ステージは、沿岸部を走るコース。距離は3ステージともほぼ40キロと、毎日フルマラソンを走る計算だ。そしてもっとも過酷なのは第4ステージ。全長約80キロのロングステージで、内陸部の灼熱の砂漠を夜通し走る。第5ステージは、広大な砂丘を走る40キロ。最終日の第6ステージは10キロ。ゴールはすぐそこだ。

この記事を画像つきで読む

集合日(4月29日)「地獄へようこそ!」

今回日本から参加したのは7人。年齢も職業もさまざまだ。

トライアスロン仲間でもある脳神経外科病院の院長、森本将史さん(49)は、私と一緒に砂浜練習を行ってきた。医療知識の豊富な森本さんは、何が起こるかわからない砂漠レースで頼れる存在だ。同じくトライアスリートの吉村正機さん(40)は公認会計士。森本さんに誘われてエントリーを決めた吉村さんは、砂浜練習で健脚ぶりを見せつけていた。

愛知から参加したのは、参加者最高齢、砂漠マラソン9回目となる不動産会社経営の村上忠司さん(69)。村上さんは今回初めて、長男の忠弘さん(44)と一緒に参加した。忠弘さんは建築士で、トライアスリート。忠司さんから「これが最後かもしれない」と言われ、一緒に走ることを決めたという。

鹿児島から参加した高橋宏樹さん(31)は会社員。砂漠レースは2009年以来2回目だ。「前回の参加時は学生だったが、社会人になって、あんなに楽しいことがあるとふと思い出して」参加した。

そして紅一点の田口真由美さん(50)は市役所に勤める保健師で、ほぼ毎週末トレイルやウルトラマラソンに出場するバリバリのランナー。日本人の中で唯一、上位に食い込む可能性がある選手だ。

メンバーのほとんどは、砂漠マラソン初参加。「チームジャパン」は全員完走という目標をもってこのレースに挑んだ。

選手は41カ国から93人が参加。国別にみると、大所帯での参加は韓国、ドイツ、イギリスだ。

29日はスワコプムントのホテルで、選手への説明会や荷物チェックが行われた。荷物の計量が行われ、私の荷物の重さは11kgだった。これに水の重さが加わるので、13kg近くを毎日背負って走ることになる。

その日のうちに選手は翌朝のスタート地点にあるキャンプ地にバスで移動した。砂漠が近くなるにつれ、バス内のテンションが高くなる中、運営スタッフがこういった。

「ウエルカム・トゥ・ザ・ヘル(地獄にようこそ)!」

選手から歓声とため息が起こった。

キャンプ地には運営側によってテントが備え付けられていた。選手たちはそこで寝泊まりし、翌日のスタートに備える。1つのテントの大きさは10畳程度。そこに8人の選手が寝泊まりし、顔ぶれは7日間変わらない。
テントメイトの国籍は香港、スイス、イギリス、アメリカ、アイルランド、そして日本と様々で、1人は女性だった(テントはすべて男女一緒)。

砂漠では午後6時ごろには日が暮れ、あたりは漆黒の闇となる。気温は一気に10度ぐらいまで下がるので、ダウンジャケットが欠かせず、現地のスタッフが焚火をしてくれる(その際、選手の食事用にお湯も沸かしてくれる)。

満天の星を見ながら食べる夕食は格別だが、選手は食事を終えると早々にテントに戻り、寝袋に入ってピクリとも動かない。とにかく睡眠をとることが、長いレースで体力を維持・回復するために最も重要なのだ。
私も翌日に備えて、そそくさとテントに入った。寝袋で寝るのは初めてだったが、日本からの移動の疲れもあってあっという間に眠りに落ちた。

1/4ページ

最終更新:6/25(日) 8:00
ホウドウキョク