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JR2社のクルーズトレイン、“地方のポテンシャル”引き出せるか

6/25(日) 8:30配信

日刊工業新聞電子版

■新たな鉄道の歴史

 JRが東西で相次いで豪華寝台列車「クルーズトレイン」の運行を始めた。今年で発足30年を迎えたJRは新幹線網を広げた一方、地方鉄道網では三セク鉄道会社への経営移管や廃止も進めてきた。新たに走りだしたクルーズトレインが主題に据えるのは“地方創生”。地域の魅力を引き出して、新たな観光流動、移動の価値を生み出していけるのか。沿線活性化の期待を乗せて走りだした。

 今月17日、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」が大阪と京都の両駅を出発。運行を始めた。かつて北海道と関西を結んだ寝台特急「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継いだ濃緑の車体は、アールデコ調で存在感も抜群。エクステリアをデザインした福田哲夫氏は「沿線の風景を映しながら、いつまでも輝いてほしい」との願いをこめた。

 「新しい鉄道の歴史を作り上げたい」―。5月1日、上野駅13・5番ホームで出発を待つJR東日本「トランスイート四季島」を前に冨田哲郎社長は“晴れの日”を喜んだ。四季島プロジェクトは構想から4年かけて実現。白が基調のモダンな車両をデザインした奥山清行氏も「未来の伝統をデザインした」と出来栄えを誇った。

■鉄道が伸びていかないエリア

 寝台列車は新幹線網の拡充など鉄道の高速化を背景に役割を終えた。JR東「北斗星」やJR西のトワイライトエクスプレスなど移動手段にとどまらない価値を訴求した寝台特急も、車両の老朽化や新幹線開通の余波を受けて姿を消していった。

 寝台列車が新たな姿を見せたのはJR九州が13年に投入した「ななつ星in九州」。豪華列車に乗って観光地を周遊するクルーズトレインは成功を収め、地域との連携で鉄道の旅に再び夢をもたらした。

 JR東の冨田社長は「(四季島を通じて)地域とのつながりを深めていきたい」と繰り返す。JR東、JR西の両社は“地域との共生”を経営の軸に打ち出し、イベントや協業を進めてきた。

 四季島が巡る東北・信越や、瑞風の山陰・山陽は輸送密度が低いローカル線。JR西の来島達夫社長は「鉄道事業としては伸びていかないエリアだが、観光で活性化に取り組む」との思いを託す。

 クルーズトレインの投入は、いかに地域活性化に貢献するかとの問いに対する鉄道の答えの一つ。そして今後のプラットフォームになりそうだ。

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