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<リンさん事件から3カ月>「子どもは地域で守る」 松戸、新たに見守り隊登録制度

6/25(日) 10:54配信

千葉日報オンライン

 千葉県松戸市立六実第二小学校に通う当時3年生のレエ・ティ・ニャット・リンさん(9)が殺害された事件は26日、遺体発見から3カ月を迎える。むごたらしい事件は市民を震かんさせただけでなく、殺人容疑などで逮捕、起訴された渋谷恭正被告(46)が見守り活動に参加していた保護者会長だったことから、広く市民に見守りへの不信や無力感という影を落とした。その中で「地域の子どもは地域で守る」と見守りの再生を目指す市民もいる。その思いを聞いた。

(松戸支局 柴田智弘)

 松戸市は、事件から1カ月を区切りに市内の緊急特別警戒態勢を解除。子どもたちがはしゃぎながら帰宅する日常の光景が戻った。しかし、六実第二小では、教員に守られながら列を作っての下校が続く。事件が地域に刻んだ爪痕は深い。

 見守りの在り方を問われていた市は今月、六実地区で新制度「六実っ子安全安心見守り隊」を導入した。登録した人に隊員証を交付して意識を高めてもらい、不心得者の抑止につなげる狙い。現在、7団体、187人に交付した。将来的には3千人の登録を見込んでおり、まだ緒に就いたばかりだ。

 29年間、防犯指導員として活動してきた六実地区の防犯協会長、西原正博さん(68)は今回、六実は事件の少ない町という誇りを砕かれた。「もっとやらなきゃならん」と決意を固め、「地域にも大波だった。子どもの安全は人任せにできないと、みんなが再認識した」と新制度で見守りの再出発を誓う。

◆対岸の火事でない

 JR常磐線新松戸駅に近い幸谷小学校の「スクールガード」(渋谷信雄会長)は11年前から月1度、地域住民が20人ほどで夜間に学区を見回ってきた。反射材付きの青色ベストを着込み、誘導棒を振って歩く。事件は対岸の火事ではないとの危機感から、今月のパトロールはPTAや児童も加わり普段の倍以上となる55人で巡回した。

 子どもと参加した父親(39)は「事件があり、何を信じればいいのかという思いはあったが、子どもを守る役に立てれば」と辺りに気を配った。4班に分かれて巡回後は「街路灯に枝がかかって暗い」「側溝のふたの隙間が広がっていて危険」と報告し合い後日、管理者へ是正を求めた。

 副会長の田嶋幸浩さんは「普段は見ず知らずの人に声を掛けづらいが、スクールガードの格好だと『こんばんは』『ごくろうさま』とあいさつしやすい。このコミュニケーションが犯罪抑止効果になる」と意義を強調した。「事件に変に影響されず、これからも同じ」と活動を続けていく。

◆「パトラン」も一役

 「松戸パトラン」(竹内誠二代表)はランニングを防犯パトロールに生かす活動を展開する千葉県内唯一の団体だ。竹内代表は「声掛けや防犯活動をすることで地域に愛着も湧く」と地域貢献が郷土愛につながると説く。メンバーの男性は「どんな人が、どういう考えで活動しているか、参加して感じてほしい」と呼び掛けた。

 そろいの赤いTシャツを着て、毎月8日と18日、平日は午後9~10時にランニング、休日は午前9~10時に清掃活動を行っている。