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アングル:東芝株にくすぶるリスク、描けぬシャープ型再生シナリオ

6/26(月) 17:06配信

ロイター

[東京 26日 ロイター] - 東芝<6502.T>株の先行きが晴れない。半導体子会社の売却先として日米韓連合を優先交渉先に決めたが、株主資本は当初の市場見込みより小さくなる見通しで、債務超過や上場廃止のリスクが依然くすぶる。東証2部降格も決まり、経営陣による強力なリーダーシップで1部復帰が期待されているシャープ<6753.T>のような再生シナリオは描きにくいとみられている。

<「344円」の試算に狂い>

東芝の株価は、6月に入って上げ足を速め、13日には一時344円を付けた。米原発事業での巨額減損問題が明るみになり急落した昨年12月以来以降、最も高い水準だ。2月安値の178円からは93%の上昇となる。

いまだ2017年3月期の有価証券報告書も提出できず、上場廃止のおそれもある同社株だが、市場が付けたこの344円には、それなりの「裏付け」があった。東芝が進める半導体子会社の売却額が2兆円にのぼるとの見通しだ。

事前報道をもとに市場では、半導体子会社の売却が想定通りに進み、他の事業で大きな損失が今後出ないとの前提で試算。5月時点で東芝の公表した債務超過額から、株主資本がプラスの約1兆4600億円に回復すると見込み、発行済み株式数で割った1株当たり株主資本(BPS)は約344円になるとはじきだした。

東芝の株価純資産倍率(PBR)を解散価値ちょうどの1倍とすれば、株価は344円となる。東証1部から2部への降格や上場廃止で、パッシブ型ファンドからの需要減少や、流動性低下による影響があったとしても、理論的には、それだけで株式の価値はゼロにはならない。純資産は株主価値として残る。

しかし、その「皮算用」は、23日の記者会見で崩れた。東芝の綱川智社長は2兆円の買収金額が今年度中に払い込まれた場合の、資本のプラス効果は約7000億円との見方を示したためだ。

東芝が23日に発表した16年度末の株主資本は5816億円のマイナスと、債務超過の見込み。7000億円のプラス効果を単純に計算すれば、株主資本は1000億円強にとどまる。344円の試算の前提だった1兆4600億円とはかけ離れた水準だ。

綱川社長は会見で「17年度末には株主資本比率10%に届くレベルに回復したい」と述べたものの、市場は懐疑的だ。「資本の水準としては全然足りない。新生東芝が生み出す利益はたかが知れている。マクロ要因で株主資本が再びマイナスとなる懸念は払しょくできない」(銀行系証券アナリスト)という。

<シャープと異なる東芝の「事情」>

2016年8月1日に東証2部に降格したシャープ株は、同月9日に終値89円を付けてから、17年4月4日には498円と約5.6倍に上昇。13年5月以来の水準を回復した。

液晶事業の不振で経営難に陥った同社は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>傘下で再建を進めているが、17年3月期は構造改革やコストダウンの取り組みが奏功し、3年ぶりに営業損益の黒字化を達成。今年6月中にも東証1部の復帰に向けた申請を行う方針だ。

8月1日付で東証2部への降格が決まった東芝株にも、シャープのようなV字回復への期待はあるが、市場では「鴻海側から強力な経営者が送られたシャープとは違う。ドラスティックな合理化が進むとは見込めない」(中堅証券)と、冷ややかな声も多い。

米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>による訴訟リスクがくすぶるほか、「稼ぎ頭の半導体事業がなくなれば、残るのは原発や社会インフラ関連。低収益を余儀なくされるとみられ、投資妙味も乏しい」(国内投信)との指摘もある。

ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄シニアファンドマネージャーは「直前まで400円台の株価が付いていたタカタ<7312.T>が(民事再生法適用申請の報道で)急落した。『どうせ救われるだろう』という楽観的な見方が仇(あだ)になる可能性もある」と話す。

26日の市場で、東芝の株価は前週末比9.6円(3.12%)安の298.2円。一時は7%近く下落した。

東芝株に対しては、短期的にはパッシブ系ファンドによる売りが予想される。みずほ証券の永吉勇人チーフクオンツアナリストは26日付のレポートで、2部降格に伴い日経平均、TOPIX連動型のパッシブ系ファンドから外れることによる東芝株の売り需要は約1183億円(約3億8400万株、23日時点)と試算した。

一方、新規採用候補の筆頭格として市場で取り沙汰されているのはセイコーエプソン<6724.T>だ。永吉氏によると、新規採用となった場合の同社の買い需要は約1177億円(4800万株、同)の見込みという。

(長田善行 編集:伊賀大記)

最終更新:7/17(月) 2:19
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