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おり損壊、動物もパニック… 震災に動物園はどう対応?

6/26(月) 10:48配信

十勝毎日新聞 電子版

マニュアル整備急務 猛獣対応や連絡・物資確保

 昨年4月に発生して家屋倒壊などで多数の死傷者を出した熊本地震。被災して休園していた熊本市動植物園(熊本市東区)では2月に部分開園が始まり、徐々に活気を取り戻している。大規模災害の発生時、多くの大型動物や猛獣を飼育している動物園はどう対応すべきなのか。5月下旬に同園を訪ね、被災から現在までの歩みや教訓を聞いた。(松田亜弓)

 最大震度7を記録し、最も被害の大きかった益城町から車で約20分。約110種の動物と約5万点の植物を見ることができる市民の憩いの場所だった熊本市動植物園を、最初に大地震が襲ったのは昨年4月14日午後9時26分だった。

揺れ、動物に異変

 帰宅途中だった同園獣医師の上野明日香さん(38)は車の中で大地震に遭遇。携帯の地震速報が鳴り響き、急ぎ園に戻った。万が一の「猛獣脱走」の事態を想定し、驚かせるための傘や麻酔銃、吹き矢を持ち、集まった職員5人ほどで獣舎の見回りに向かった。

 真っ暗な園内。地面は凸凹で、配水管が壊れてあちこちから水が噴きだしていた。おびえた動物たちの鳴き声が響く中、動物の無事と獣舎の安全を確認した。一夜明けた15日、水道が壊れて動物の水が確保できなくなくなり、福岡と大分の水族館が夜までにタンクを届けてくれた。

 「動物が逃げていれば市民の安全確保をしなければいけない」。上野さんは大きい余震のたびに獣舎や動物の状況を確認しに行った。

 16日午前1時25分には、再び震度7の「本震」が発生。動物に心的影響が現れだした。アフリカゾウは警戒するように耳を広げて走り回り、シマウマは寝室の壁にぶつかり顔に傷を負った。霊長類は顕著で、サルの一種「アンゴラコロブス」は2度の激震を経験した寝室で食事がとれなくなった。チンパンジーは10日間食欲が戻らず、警戒するような悲鳴を上げた。

 相次ぐ揺れで施設の被害も広がり、ユキヒョウの運動場はおりに隙間ができ、寝室から出せなくなった。日本動物園水族館協会(JAZA)の調整で、ライオンなど猛獣5頭は九州の4園・館に引き取られた。

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