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飛べる零戦、国内保存は茨道? ネックは資金、状況は「危機的」 共同所有も視野に

6/26(月) 6:20配信

乗りものニュース

東京湾に零戦が帰るも…

「私は竜ケ崎飛行場で『レッドブルエアレース』における展示飛行を終えた零戦の帰りをいまかいまかと待っていました。夕暮れでオレンジ色に染まる空の中にポツンと黒い点が見えてきまして、だんだん点が大きくなるとそれが零戦であることがわかりました。夕日に照らされ輝く零戦がとても綺麗で心を打たれましたね。ふと後ろを振り返ると、関係者の何人かは泣いていました」(ゼロエンタープライズ・ジャパン 石塚政秀さん)

【写真】零戦のライバル、グラマンF6F「ヘルキャット」

 2017年6月3日(土)、4日(日)に開催された『レッドブルエアレース千葉2017』において、戦後初の日本人操縦による零戦の歴史的ともいえる飛行が実現しました。この零戦は「零戦里帰りプロジェクト」を主宰する、ゼロエンタープライズ・ジャパンの石塚政秀さんが所有する機体です。

 石塚さんは日本での零戦の永年動態保存を目的として2014年に初めてこの機体を日本へ持ち込み、2016年にようやく国内での初飛行を実現、その後アメリカへいったん戻し、日本人パイロットの操縦訓練を実施したのち、改めて来日を果たしました。

 最初の零戦の「帰国」から3年目にして、ようやく念願であった一般公開飛行を実現した石塚さんですが、「今後の公開飛行については2017年6月末現在未定で、資金的にかなり厳しい状況にあり、このままでは零戦を手放すしかない」という危機的な状況にあるそうです。

維持に立ちはだかるお金の問題

 石塚さんによると、「レッドブルエアレース千葉2017」での展示飛行の成功は、大きな反響を呼んだそうで、「うれしいことにその99%は肯定的なもので、各地から零戦を呼びたい、零戦は次どこで飛ぶのか、いつ飛ぶのかという問い合わせも殺到しています」といいます。

「私たちとしても年に8回から10回程度、零戦を飛行させたいと考えていますが、残念なことに、いざ零戦を飛ばすための経費の話をすると、そこで止まってしまうのです。今回も、アメリカから日本へ零戦を輸送し展示飛行を実施する費用だけでも3000万円かかっており、1200万円はレッドブルが支払い1800万円余りは我々ゼロエンタープライズが負担しました。しかし今後、動態保存をしてゆくにあたり、私やゼロエンタープライズ・ジャパンの唐木社長、そしてこれまで無報酬だったボランティアの皆さんだけでこのまま続けてゆくことはできません。このままではいずれひとり抜け、ふたり抜けとなって私を含めてみんな息切れしてしまい限界が訪れます。今後、零戦を動態保存し、イベントで飛行させるには、やはりそれなりの運用をするための支援をいただかないことには実現不可能であり、零戦を飛ばせられないのが現実です」

 実際どの程度の支援が必要なのでしょうか。石塚さんは「飛行イベントを企画し支援さえいただければ日本中どこへでもおもむき展示飛行する」といいます。ケースバイケースであるものの一度の飛行展示について、零戦の1週間貸し出し費用、移動のための経費、整備費、パイロット招聘費、保険、2日間(土日など)の飛行展示費用などオペレーションに必要なものすべてを含め、約1500万円を見込みます。

「1500万円という額は決して難しい話ではないと思うのです。自治体や企業、商工会議所などで零戦飛行イベントを主催していただき、1万人から2万人の観客の皆様にチケットを買っていただくとすれば、単純計算でチケット代は1000円から2000円程度で達成できます。またクラウドファンディングなどで零戦を呼ぶための資金を集めてもらっても良いかと思います。現在、今後のモデルケースとなる最初のイベントを開催すべく交渉を続けていますが、7月中までにある程度決まらない場合は、不本意ながら零戦は日本の社会では維持できないものとして売却せざるをえません。その確率は50%くらいでしょうか」

 零戦の動態保存については、「日本の気候では保存に適さない」といったネガティブな意見も、一部にいまだ根強く存在します。しかしその前例のない挑戦において解決しなければならなかった法的な問題、パイロットの問題、そして整備における問題などの障害は、石塚さんらによるこれまでの活動によってすべてクリアしており、そして2017年6月現在、零戦は常に飛行可能な状態で保たれています。

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