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日立は本当にIoTのけん引役なのか?中西会長が語る現在地と未来

6/26(月) 17:24配信

ニュースイッチ

「顧客体験をどう創るかが競争軸」

 2009年の巨額赤字を受け社会インフラ事業へ経営資源を集中した日立製作所。今ではIoT(モノのインターネット)をけん引する日本企業の代表格。ライバル会社をどうみているのか。中西宏明会長に聞いた。

 ー製造業の中でもコマツは建設機械を遠隔監視する「コムトラックス」で、モノを売った後のサービスで稼いでいます。日立よりコマツは約10年早く経営危機があって、逆にそれで思い切ってかじを切れたとの見方もできます。
 「日立はこれまで徹底して製造業を貫いてきて、工場のオペレーションについては相当訓練されているんですね。多くの失敗をバネに改善していくことに長けた人は数多くいる。でも、これからはその延長線だけじゃ全然ダメなわけだ。お客さんがこう考えているから、自分たちの事業もこう変えていこうというのは、それこそ経営層が決定すべきことですよ。その意味で当時のコマツの坂根(正弘元社長)さんのリーダーシップは大きいと思いますよ」

 「工場ではなく、お客さんに近い営業の前線がプロフィットセンターにならないといけない。この原材料はいくらで買って製造コストはこれだけだから、いくらもうかります、というモデルでは、もう通用しない。自分たちのソリューションを提供することで、お客さんの売り上げが増え、どのくらいコストを下げられるから、得られたプロフィットを『7対3』とか『6対4』でシェアしましょうという発想・説明をしなければいけない。顧客体験をどう創るかが競争軸です」

 ー坂根さんはコマツにしか創れない“断トツ”サービスという言い方をしています。日立はここ数年、IoTにフォーカスしていますが、日立にしかない顧客体験はありますか?
 「コマツは建機という領域に絞ってコネクテッドな世界を作り付加価値を広げていきましたね。我々の持っている事業領域は広範囲なため、ビジネスのやり方が異なる。まず、業種や国・地域が違うと、求められるニーズも変わってくる」

 「分かりやすい例でいえば鉄道。日本の鉄道事業者は、運行管理やデジタル化を事業者自身で手がけているが、海外の鉄道事業者からは、そういった企画・管理・運営も含めて『全部やってほしい』という要望を受ける。日立は、日本の鉄道事業者と一緒になって鉄道システムを作り上げてきた経験やノウハウがあるので、その経験を生かし、海外地域でも花開こうとしている」

 「でも日立が本当にやりたいのは、さらにその先を行く市場のクリエイションです。どういうことかというと、新興国では、鉄道の駅を降りてから、次の交通手段に誘導するようなトランスポーテーションの総合サービスを、お客さんと一緒になって発見し、定義し、展開していかないと市場の成長に結びつかない。だからお客さんに対する見方もアカウント(個別企業)だけではダメで、パイプライン(営業プロセス全体)で見なきゃいけない。そういうことができる人材を社内で数多く育てる必要があって、そのステージに上がるところでうちも手間取っていますよ」

 ー米ゼネラル・エレクトリック(GE)は2011年くらいからデジタル革命に向け企業カルチャーの変革に大きく踏み込みました。それでも最近はなかなか株価が上がらずジェフ・イメルトCEOの退任が発表されました。従来の損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)は、モノの生産や移動する数字が中心です。コネクティブな社会では企業価値を測る尺度も変わってくるのでは。

 「GEは米国企業だけあって、お金や人の動かし方も早い。ただ、イメルトさんともよく話しますが、ソフトウエアカンパニーになれているかと言えば、まだまだだと言っている。製品やサービスがコモディティ(汎用)化する時間軸は格段に早くなっていて、そうなると内部評価の前提も違ってくるよね」

 「デジタルエコノミー時代の企業をしっかりと測る手段は、まだ確立されていない。昔は設備投資して、その回収期間が何年と計画し、実際にその通りになったかどうかを各拠点ごとのPL、BSがあれば一通り管理できた。しかしビジネス形態が変わっている状況では、同じやり方ではCFO(最高財務責任者)も儲かるのか、儲からないのか分からないから困るよね。経理のメカニズムを変えないと管理ができないので、日立も取り組んでいるところです」

 ー日立は日本でIoTのフロントランナーという意識や手応えはどの程度ありますか。
 「デジタライゼーションもロボティクスもAI(人工知能)もツールであって、それらのツールを有効的に社会課題の解決に使いましょうというのが政府が掲げる『ソサエティ5・0』というコンセプト。安倍さん(安倍晋三首相)も国際会議の場でアピールしていますが、日本は先進国でも発展途上国でも、一緒に課題を解決することができるパートナーになれる大きな可能性を持っている。日立もいろいろ試行錯誤しながら手を打ってきて、そのフィードバックを待っているところですね」

METI Journal

最終更新:6/26(月) 17:24
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