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<東松山少年事件>うそから集団暴行に…川に少年沈め救急車「駄目」

6/26(月) 23:22配信

埼玉新聞

 埼玉県東松山市下唐子の都幾川河川敷で昨年8月、吉見町中曽根のアルバイト井上翼さん=当時(16)=の遺体が見つかった事件で、傷害致死の罪に問われた無職少年(18)の裁判員裁判の初公判が26日、さいたま地裁(栗原正史裁判長)で開かれた。少年は「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側は「少年院での教育が更生に必要」と保護処分が相当と主張した。

 傷害致死罪で起訴された少年(18)は初公判で、髪をスポーツ刈りにし、黒と白のボーダージャケット、白のズボン姿で出廷した。罪状認否で背筋を正し、はきはきと答えていたものの、検察側の証拠調べの最中は下を向いてうつむく場面もあった。

 検察側の証拠調べによると、井上翼さん=当時(16)=が少年ら5人と行動を共にするようになったのは事件のわずか5日前だった。遊びを断る口実の「うそ」が後に集団暴行へと発展した。

 証人出廷した別の少年(16)=少年院送致=はグループ内での井上さんの立場を「初めは対等に見えたが、日常的に暴力を振るわれるようになったり、万引をさせられるようになった」と証言。井上さんは「(起訴された)少年2人から暴力を振るわれるのが嫌だから、(少年の)家に行きたくない」とこぼしていたという。井上さんが「うそ」をついた理由については「(起訴された)少年2人から物のように扱われているのが嫌だったのでは」と述べた。

 検察側によると、井上さんへの暴行は昨年8月22日午前2時50分ごろから午前4時45分ごろまで、河川敷などで続いたとされる。泳げなかった井上さんは、起訴された別の少年(17)に何度も顔を水に沈められたり、5人から一人ずつ殴る蹴るの暴行を受けたという。その間、井上さんは「やめてください」と大声や、うなり声を上げていた。

 証人出廷した少年は「救急車を呼ぼうと提案したが、(起訴された)少年2人に『警察にばれるから駄目』と言われて呼べなかった」と振り返った。最後は意識がなくなった状態のまま、川に再び沈められ、そのまま裸のまま河川敷に放置されたとされる。

 真実を知りたいと裁判を傍聴した井上さんの幼なじみの少年(18)は公判後、「知らない方が良かったかもしれない。翼の立場になって考えたら、耐えられなかった」と語った。「意識がなくなっているのにまた水に沈めるなんておかしい。何で救急車を呼ばなかったのか。反省の言葉を述べていたとしても、信じられない。事実を知るのはつらいけど、翼のためにこの裁判は見届けないといけない」。

 事件当時、井上さんと交際していた女性(17)はこの日、青森県から埼玉に来た。女性は「痛々しくてつらかった。きっと裁判を聞いても最後まで納得できないけど、私は事実を全部知る義務がある。その後、少しずつ受け入れて前に進めるように、ちゃんと向き合いたい」と話した。

最終更新:6/26(月) 23:22
埼玉新聞