ここから本文です

「自閉症に優しいまなざしを」 川崎で上映・講演会

6/26(月) 13:33配信

カナロコ by 神奈川新聞

 自閉症の少年がディズニーアニメを通じて自立していく姿を追ったドキュメンタリー映画「ぼくと魔法の言葉たち」(2016年、米国)が25日、障害者や子ども連れも鑑賞しやすい「フレンドリー上映」の形式で、川崎市アートセンター(麻生区)で上映された。市自閉症協会の明石洋子会長(71)も講演し、自身の育児経験を映画と重ね合わせながら振り返った。

 自閉症の少年オーウェンは2歳から言葉を失い、6歳まで誰ともコミュニケーションが取れなかった。両親はある日、息子の発する言葉がディズニーアニメのせりふだと気づき、キャラクターになりきって語り掛けると会話ができるように。少年がアニメを通じて言葉を取り戻し、現実世界を理解して成長していく姿を、同作品は描く。

 上映後、長男(44)が自閉症だという明石会長が講演した。2歳の時に自閉症と診断され、トイレや水、文字や記号へのこだわりが強く、専門家からはこだわりを取り除くように指導されたという。

 それでも、「外に出ると表札の字をドアに書いたり、車のナンバーの住所をボンネットに書いたり」。こだわりはなかなか取り除けなかったが、水やトイレが好きならトイレ掃除を教える、というふうに、生きる力に変えようと模索したという。「息子は絵本のせりふを丸暗記してコミュニケーションを取っていた」。そうして取り入れた情報を社会で役立つ形にするため、地域の手を借りながら訓練していったという。

 明石会長は「自ら閉じこもる病という言葉自体に誤解が多い。映画の少年もオープンな性格だが、息子もひょうきんで明るい。正しく理解されないことでパニックなどの2次障害が起こる」と解説。その上で、「この40年で法律は次々に変わったが、偏見や哀れみといった心のバリアーはまだ残っている。親は本当に大変だが、『私は理解している』という優しいまなざしを向けてもらえるだけで頑張れる」と力を込めた。

 作品は同センターで7月7日まで上映される。劇場内の照明が通常より明るく、席を立ったり声を出したりしてもいい「フレンドリー上映」は、7月2日にも実施。問い合わせは同センター電話044(955)0107。