ここから本文です

JR四国の利用者25年後に17%減 人口減少による影響深刻

6/27(火) 6:30配信

ZUU online

2040年度のJR四国利用者総数が2015年度に比べ、17%減少する見込みであることが、国土交通省四国運輸局の推計で明らかになった。訪日外国人観光客の利用増が見込まれるものの、それを上回るペースで沿線人口の減少が進むためで、民営化後一度も本業の営業損益が黒字になっていないJR四国の経営は、一段と厳しさを増す見込み。

JR四国は今夏にも国や地方自治体、経済界と四国の公共交通のあり方を考える懇談会を設置、10年後、20年後のあり方を検討する考えだが、自治体が線路などの施設を保有し、JR四国が運行に専念する上下分離方式の導入など抜本的改革の検討を迫られそうだ。

■鳴門線と予土線は30%を超す大幅減少

四国運輸局は近年の利用者数を基に、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の人口予測や4県を訪れる宿泊者数などを勘案して2040年度の路線別利用者数をはじき出した。

それによると、JR四国が運行する全9路線の利用者数は、2015年度が5991万人だったのに対し、2040年度は17%減の4974万人まで落ち込むと推計された。

路線別にみると、全利用者の4割以上を占める予讃線(2040年度予測利用者2284万人)をはじめ、徳島線(349万人)、瀬戸大橋線(662万人)、高徳線(563万人)の計4路線は10%台の減少にとどまったものの、土讃線(660万人)、牟岐線(286万人)、内子線(92万人)の3路線は20%台の減少となった。

利用者数がもともと少ない鳴門線(54万人)、予土線(24万人)の2路線は30%を超す大幅な減少が見込まれ、路線の維持が困難になる可能性も否定できない。複数路線にまたがる利用者を各路線に計上したため、全路線とも実際の利用者数より大きな数字が出ている。実際はもっと厳しい数字になる可能性が大きいわけだ。

四国運輸局交通企画課は「訪日外国人観光客の増加を見込んでも、人口減少の影響が大きかった。この数字を参考にして今後、四国の公共交通ネットワークのあり方を考えていきたい」と述べた。

■2016年度の鉄道運輸収入はピーク時の6割

JR四国の鉄道事業は現在も厳しい状況に追い込まれている。国鉄分割民営化で発足した当初こそ瀬戸大橋の開通など追い風もあり、1996年度に鉄道運輸収入がピークの370億円に達した。

しかし、四国内を走る高速道路網が整備されると、利用者が次第に減少する。2016年度の鉄道運輸収入は236億円で、ピーク時のざっと6割。単体の営業損益も120億円の赤字を記録した。路線別収支は明らかにしていないが、運行路線のほとんどが赤字とみられている。

そこへ追い打ちをかけるのが人口減少だ。社人研の推計によると、四国は現在、400万人足らずの人口を抱えているが、このままのペースで減少が進めば2040年に300万人を下回る見通し。

特に山間部や高知県高知市周辺を除く太平洋沿岸部は、自治体の存続が危ぶまれるほどのペースで人口減少が深刻化すると予想されている。それがJR四国の利用者数や経営に深刻な影響を与えるとみられている。

四国運輸局の推計に対し、徳島県の飯泉嘉門知事は記者会見で「厳しい数字」と強い危機感をにじませ、「利用者増に向けて沿線のにぎわいづくりや訪日外国人観光客の取り込みがさらに必要」との考えを示した。

香川県交通政策課は「(JR四国が)非常に苦しい状況にあると認識している。どういう対応が可能なのか、地域で考えなければならないだろう」と厳しい口調だ。

■JR四国の経営が行き詰まる前に4県の知恵の結集が必要

JR四国は新たに設ける懇談会に路線別の収支など独自のデータを提出し、将来のあり方について議論を進める方針。現在のところ、不採算路線を切り捨てる考えを持っていないが、赤字がこれ以上膨らむと会社の経営に支障が出かねない。

半井真司社長は記者会見で「鉄道の利用者数は沿線人口との相関が非常に強い。(JR四国も)これくらい減るだろうという予測はあるが、今回の数値と大きく変わるものではない」と苦しい胸の内を打ち明けた。

JR北海道が単独で維持できないとして、営業距離のほぼ半分に当たる路線の廃止を含めた見直しを地元自治体と協議しているが、JR四国もこれを対岸の火事といえない状況。地域の協力を得られなければ、近い将来、路線の見直しに踏み切らざるを得ない可能性もある。

解決策として上下分離方式の導入や鉄道予算に比べて潤沢な国の道路予算活用などが考えられるが、国、自治体とも財政状況が厳しく、どこまで対応できるかははっきりしない。しかし、過去に鉄道が廃止された地域はそれを契機に急激な人口流出や地域経済の沈滞に見舞われた。沿線自治体としては安易に廃止を受け入れることも難しい。

各自治体とも人口減少対策に全力を挙げているが、今のところ歯止めをかけられる方策は見当たらない。そんな中、鉄道網をどうやって維持すればいいのか、JR四国の経営が行き詰まる前に4県の知恵を結集して方向性を示すことが求められている。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

ZUU online

最終更新:6/27(火) 6:30
ZUU online