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大洗研被ばく3週間 「常陽」再稼働に影

6/27(火) 10:00配信

茨城新聞クロスアイ

日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(大洗町)の作業員被ばく事故は27日で発生から3週間を迎える。問題は、想定の甘さや後手に回った事故後の対応にとどまらず、不祥事を繰り返す組織の体質への指摘も相次ぐ。機構は同じセンターにある高速実験炉「常陽」の運転再開を目指しているが、またも安全管理の不備を露呈した今回の事故は、常陽の再稼働手続きにも微妙な影を落としている。

今回、事故の発生現場となった同センターの燃料研究棟は1974年に完成。「夢の原子炉」と期待された高速増殖炉もんじゅ(福井県)や常陽など、高速炉の新型燃料を開発するのが当初の目的だったが、高速炉開発自体が行き詰まる中、2013年に廃止が決まった。

常陽はもんじゅの前段階の原子炉。もんじゅの廃炉決定後、政府は常陽を高速炉開発の国内拠点の一つに位置付けており、機構は今年3月に再稼働の前提となる適合性審査を国に申請した。

だが、機構は4月の初回審査でいきなりつまずいた。本来の出力で運転すると避難計画を作る自治体の範囲が広がり、地元対策に時間がかかるとして、設備はそのままに、出力を抑えて運転すると説明したのが理由だ。

原子力規制委の田中俊一委員長は「ナナハン(大型二輪車)のオートバイを運転するけど30キロを超えないから原付免許でいいですよねという話だ」と批判。申請を突き返し、審査を保留する異例の決定をした。

このため、機構は現在、申請をやり直すか補正申請を出さなければならない状況にある。しかし、組織内からも「普通に考えれば事故対応が一段落しないと動けない」との声があり、同じ拠点内での今回の事故で、常陽の審査の先行き不透明感も増している。

同センター担当者は事故の影響に関し「常陽の補正申請への直接的な影響はない」としながらも、「今後、事故原因が明らかになっていく過程で常陽でも安全性を確認するべき項目が出てくる可能性は否定しない」とする。

事故は6日午前に発生した。点検のため核燃料物質入りの金属容器のふたを開けた際、プルトニウム酸化物などが入るポリ容器を包んでいたビニールバッグが破裂し、放射性物質が飛散。作業員5人全員が内部被ばくした。機構は詳しい事故原因は「調査中」としている。 (戸島大樹)

茨城新聞社