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『妖怪ウォッチ』の北米戦略とは―LEVEL-5 abby Inc.担当者インタビュー

6/27(火) 17:06配信

インサイド

今年のE3の会場付近でひときわ目立っていたのが、Tom’s Urbanというレストラン。歩いて5分程の、Figueroaストリート沿いの場所なのですが、会期2日目の14日、同カフェのオープンテラスは、なんと「レイトン教授」関連キャラクターで飾られていたのです。さらによく見るとレストランのゲート前には「Layton Cafe」というサインが並び、その世界観よろしく着飾ったメイドやバリスタ風のスタッフが立ち並んで出迎えています。着席しているひとたちはどれも「レイトン」シリーズのファン達。彼らには「レイトン」シリーズをテーマにしたデザートなどがふるまわれています。

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このようなE3の中でも際立ってユニークはイベントをどこが担当したのかと気になって確認すると、レベルファイブが電通との共同出資で、2015年8月に設立したLEVEL-5 abby Incだということが分かりました。そこで、今回は同社ブランドマネージャーの藤極夏美氏を直撃インタビュー。同社設立から現在までの展開について早速伺ってきました。

――御社設立の背景を教えてください。

藤極夏美氏(以下、藤極氏): LEVEL-5 abby Incは『妖怪ウォッチ』シリーズの海外展開を見据え、弊社COOの早川(早川ゆかり氏)を中心にアメリカカリフォルニア州サンタモニカに設立されました。主にレベルファイブ作品のクロスメディアのプラニングに加え、今回E3で展開している「レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀」の海外展開も担当することになりました。

――まずは『妖怪ウォッチ』シリーズの米国展開について教えてください。

藤極氏: 最初に2015年10月からテレビアニメ「YO-KAI WATCH」のSeason1がスタートしました。その1ヵ月後の11月、Nintendo 3DSの『YO-KAI WATCH』をリリースしています。そして、そこからさらに2か月後の2016年1月にはHasbro社(アメリカ最大手の玩具メーカー)から玩具の妖怪ウォッチや妖怪メダルなどの関連商品を一気に販売していきました。また、2016年4月からはNetflixでアニメ「YO-KAI WATCH」Season1、全エピソードの配信をはじめています。その結果として、Netflixから高く評価いただき、以降は、宣伝などで協力いただくなどしています。

――日本では劇場用映画なども上映されているのですが、アメリカではどうなのでしょう?

藤極氏: 2016年10月にイベント上映しました。最初の映画なんですが、ゲーム『妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打』とストーリーがリンクしているので米国版である『YO-KAI WATCH 2: Bony Spirits』及び『YO-KAI WATCH 2: Fleshy Souls』の発売と同じタイミングで、全米300館強で1日だけ公開したのですが、各地でチケットの売り切れが続出する程、話題となりました。


■イベント上映をした映画「YO-KAI WATCH」は全米各地で売り切れに
――上映がわずか1日ですもんね。

藤極氏: はい。あと、会場限定の妖怪メダルを配布したりしたので、あとでプレミアがついたりしてました。またこの時期に、玩具、Yo-kai Watch Model Zeroも新発売しています。また、すこし前の8月からはアニメ「YO-KAI WATCH」Season2の放送を開始しました。このように、ゲームの第2作目からは、テレビアニメ、劇場用映画アニメ、玩具と同時展開が出来たのです。

――様々な企業が足並みをそろえるのは大変だったのでは?

藤極氏: はい。まだ、米国ではクロスメディア概念があまり無いので、出来る限り関係企業様同士が話せる機会を持って調整をしていきました。

今回会場の外では一際目立っていたLayton Cafeに展示されていたパネル

――北米では、マーベルヒーローや、スターウォーズのような「〇〇Universe」といった展開が多いですが、御社のほうで展開されるクロスメディアとの違いはどこでしょうか?

藤極氏: どのタッチ・ポイントからでもコンテンツの世界に入ってきてもらえるというのがレベルファイブならではの考え方だと思います。一旦入ってもらうと、ユーザーを中心に様々なコンテンツで囲むようにするのです。それによって、ユーザーは何を買っても楽しいし、すべてのグッズにつながりがあるので日常の中でもブランドに囲まれる状態をつくることが出来る様になります。ですので、弊社としては、こういった本社で考えられたコンセプトを核にしながら、リーチの仕方で工夫出来たらと思っています。

※次ページ: 分かりやすさを最重要視するローカライズ戦略

■コンセプトはそのままに、分かりやすさを最重要視するローカライズ戦略
――では、ローカライズする際に工夫した点などを教えてください

藤極氏: まず、「妖怪」がテーマだったということで、すごく難しかったです。ただ、目に見えない不思議な存在というものは日本以外にも概念としてありますので、子供たちであればちゃんと理解してくれるだろうという認識にもとに、さらに親近感をもってもらうためにローカライズを強化したんです。ジバニャンについてはそのブランドを守るという意味でも名前をキープしたのですが、それ以外のキャラクターについては、例えば「メラメライオン」を英語名では「Blazion」にするなど、完全にローカライズしています。

――ただ「妖怪」というコンセプトはもともと日本古来の考え方ですよね。ジバニャンも地縛霊ですしそれをどう北米市場に合致するようにしたのでしょうか?

藤極氏: たしかに地縛霊を理解させることは難しいですが、コンセプト自体は残しているのです。例えば、ジバニャンの設定は「死んでしまったネコのYO-KAI」ですし。

――「妖怪」は「YO-KAI」なんですね。Ghostとかに翻訳しなかった背景は?

藤極氏: GhostとかMonsterというのは使わないようにしました。「YO-KAI」は「YO-KAI」という新しいジャンルの存在なんだというのを分かってもらうようにしたのです。一方、アニメの舞台はもともと桜ニュータウンというのですが、Springdaleに変えました。

――なるほど。桜=春というコンセプトをそのままにしながら、名前はいかにもアメリカ郊外という感じですね!テレビアニメを放送した当初の視聴者の反応はいかがだったのでしょうか?

藤極氏: アニメ自体、コミカルなパートをすごくこだわって残すようにしたので、そこのギャグやキャラクターどうしの掛け合いなどを面白い、楽しいと言ってくれる方が多かったです。


――ギャグパートなどは日本の70年代や80年代に流行ったポップカルチャーのパロディが多かったのですが、その辺はどう変えたのでしょうか?

藤極氏: まず、どの年代のパロディかを調べます。また、それぞれの時期には、同じジャンルの番組やパロディ元の作品に近いコンテンツはどの世界にもあります。ですので、そのような作品を選んでパロディ化しています。例えば、アニメ版の劇中には「太陽のほえろ」のパロディーシーンがあるのですが、それは「Hawaii Five O」のパロディ、「Springdale Five-Yo」に変えたりして、コンセプトのキープに努めました。

――以前、ピンクレディーによる「UFO」のパロディが話題になっていましたが……

藤極氏: こちらでそのパロディーをストレートにやるのは無理だったのですが、アニメの動き自体が面白かったので、その動きを活用したオリジナルにしました。あと、一番うまくいったと思ったのはジバニャンがトラックに轢かれても負けないようにトレーニングをするというシーンで、「僕は死にましぇん」というセリフを入れたんですが……。

――テレビドラマ「101回目のプロポーズ」のパロディですね?

藤極氏: 「トレーニング」というコンセプトをキープしながらパロディ化するために映画ロッキーのトレーニングシーンのパロディーシーン“Eye of the Tiger”に置き換えたんです。

――反応はいかがでしたか?

藤極氏: よかったです。古いモノを現代に持ってきて面白くしているというのを分かるひとには分かるし、分からない人にとっても「何か変なこと言ってて面白い」と評価いただいたようです(笑)。作品の評価についても、日本と同じようにジワジワと広がっているイメージがあります。一方、ヨーロッパについてはスペイン、フランスをメインに日本と同じような勢いで拡がっていて社会現象のようになっています。子供たちがYO-KAIダンスを踊ったりとか。ダンスについても振付はそのままに歌詞をしっかりとローカライズしました(笑)。すると、ちゃんと子供たちも歌ってくれるのです。大人も一緒に(笑)。

――これまで、いろいろなキャンペーンをした中でとりわけ効果的だと感じたのはどのようなものでしょう?

藤極氏: まず、Nintendo of Americaにご協力いただいて実施したニューヨークのNintendo World Storeでの特別展示などは効果的がありました。ですが、もっとも効果的だったのは、アニメの映画上映にあわせてすべて同時発売したときです。上映イベントのときは、多くのゲームファンがひとつの場所に集まったので、互いにゲームを持ち寄って対戦したり、ゲーム内の妖怪キャラクターを交換したりできたんです。

――では今後の展望を教えてください。

藤極氏: もともとヨーロッパでの人気は高く、新商品の展開、YO-KAIといった新しいコンセプトも、かなりスムーズに受け入れてくれました。 北米エリアでも、まだまだ続くグッズ展開に合わせ、キッズブランドとしてさらにしっかりとした地位を築けるように様々なチャレンジをしていきたいと思います。

――今回のE3では、『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』プロモーション、Layton Cafeが話題になっていますね。

藤極氏: iOSならびにAndroid OS向けの同作品の全世界同時発売日である7月20日が迫ってきているので、E3とあわせて実施しました。ファンの方々に「レイトン」シリーズを再認知いただくと同時に、新作に期待していただけるようにということからの「ブランドリブート」イベントとなります。

――『YO-KAI WATCH』シリーズなどと同様にアニメなども展開するのですか?


藤極氏: 「レイトン」シリーズファンは米国にも多いのです。これまで、Twitterなどをはじめとしたソーシャルメディアでこの場所にたどり着くためのヒントをなんどか伝えていたのですが、今回、来ているひとはそのヒントを解いてたどり着いた人たちも多くいらっしゃいます。みなさんにもっとレイトンの世界を楽しんでいただけるよう、グッズ展開などにも注力していきたいです。

―――では、今後の展開について教えてください。

藤極氏: 米国では、3DS版が今秋発売予定なので、今年の後半期は「レイトン」シリーズを盛り上げていきたいと思います。この他、『YO-KAI WATCH』最新作や新作『SNACK WORLD』の展開も控えています。当方は主にクロスメディアタイトルの展開を担当しているのですが、これからは日本での展開と時差なくすることで日本での盛り上がりを米国へもしっかりと広げていけたらと思っています。これからもレベルファイブの強力なクロスメディアタイトルのゲーム、アニメ、玩具などんどん海外へ展開出来るよう挑戦を続けますので、目を離さずに注目いただければと思います。

――ありがとうございました!

最終更新:6/27(火) 17:06
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