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川谷絵音の資質は、「ゲスの極み乙女。」より「indigo la End」に出ている?!

6/27(火) 18:20配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

■「ゲスの極み乙女。」の2年前に結成した「indigo la End」

好きな女性に対する濃密かつ切実な気持ちと、それを客観視し、多彩で奥深い音楽へと結びつけるテクニック。このふたつを持ち合わせていることが、川谷絵音の面白さであり、アーティストとしての特徴だろう。

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川谷絵音が率いる“もうひとつのバンド”、indigo la Endが7月12日にニューアルバム『Crying End Roll』をリリースする。「鐘泣く命」(ドラマ『ぼくは麻里のなか』)、先日ミュージックビデオが公開された「プレイバック」(女優の安藤輪子が“私は何人目なの?”と笑顔で話しかけるシーンに戦慄を覚えます)などを収録した本作には、川谷絵音の作家性、音楽観がこれまで以上に強く反映されている。それはつまり“暑苦しいほどの恋愛感情を描いた歌”と“先鋭的なサウンド”の融合だ。

ゲスの極み乙女。よりも2年早い、2010年に結成されたindigo la Endは一貫して、“誰もが共感できるポップス”と“斬新なバンドサウンド”の両立を目指してきた。

まずポップスの面に関しては、好きな人との気持ちのズレ、決してひとつになれないことの悲しさを描いた歌が多い。川谷自身がライブのMCなどでも語っているように、このバンドの歌詞には“迎えにいくよ”というフレーズがよく出てくる。

それはつまり、川谷の書く曲の根底に“まだ会えていない(たぶん、この先も会えない)”という切実な思いが含まれているからだと思う。バンドサウンドについて言えば、ポストロック、R&B、ファンクなどを吸収することで、独自のグルーヴを築き上げている。

卓越したテクニックを持ったバンドメンバーたちのアンサンブルもここにきてさらに進化(ライブを観ればすぐにわかると思うが、彼らの演奏は現在のバンドシーンにおいて完全に際立っている)。そして、根源的な悲しみを描いた歌と先進的なサウンドをさらに追求したのが、本作『Crying End Roll』というわけだ。

■音楽至上主義的スタンスを感じられるニューアルバム『Crying End Rolll』

『Crying End Rolll』の楽曲は、6月23日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われたライブでも披露された。このライブのなかで川谷は本作について「今後のindigo la Endの広がりを想像してもらえる作品。『Crying End Roll』だけでは最高傑作とは言えなくて、次の作品、その次の作品に繋がると思う」と手ごたえを語っていた。

また「私的な感情が入ってる曲は聴きたくないんですよね。人を好きだっていう気持ちを真剣に歌詞に起こしたものって、人に聴かせるものじゃない。それは自分だけで聴けばいい」とも。この発言からは、自分自身よりも音楽を上に置こうとする──もっと言えば、自分のことはどうでもよくて、音楽だけに力を注ぎたいという意識──音楽至上主義的なスタンスが感じられた。

ゲスの極み乙女。は、“ジャズ、プログレなどを取り入れたバンドサウンドとヒップホップ的なボーカル”という斬新なコンセプトによって一気に注目を集めたわけだが、川谷のソングライターとしての資質がより強く出ているのは、むしろindigo la Endのほう。

以前、川谷にインタビューしたときに「先に始めたのもindigoだし、思い入れは強い」という趣旨のコメントをしていたが、アルバム『Crying End Roll』を聴けば、彼がなぜ(ゲスの極み乙女。がブレイクしたあとも)indigo la Endに力を入れ続けているのかがわかってもらえるはず。

濃密なエモーションと洗練されたサウンドを同時に体感できる、indigo la Endの音楽世界をぜひ味わってほしいと思う。

TEXT BY 森 朋之