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障害児と学校つなぐ 小中校にコーディネーター配置10年

6/27(火) 17:25配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 障害のある児童生徒を対象にした「特別支援教育」を推進するため、小中学校に「特別支援教育コーディネーター」が配置されるようになってから10年が経過した。校内の支援体制づくりや関係機関との連絡調整などその役割は多岐にわたり、静岡県内の現場での存在感を高めている。一方、学級担任などを兼ねるコーディネーターが業務に専念できるよう、担当教員の「専任化」を求める声も強まっている。

 コーディネーターは2007年度の学校教育法改正による特別支援教育のスタートに伴い、各校に配置が義務付けられた。浜松市立県居小(中区)の今井恵子教諭(52)は制度開始時から担当するベテラン。担任や管理職との情報共有、個別支援を協議する「校内委員会」の実施、保護者や医療機関との連絡など幅広い業務を担う。

 今井教諭が児童の支援で最も重視するのが、保護者との関係づくり。学習障害(LD)のある1年生が整った字を書けず、漢字学習に行き詰まったケースでは、いつも赤ペンの添削が入ることに保護者が不満をため込んでいるのを見かねて、その児童に限って字として成り立っていれば丸にするよう担任教諭に助言した。バツ印が減ったことで保護者が家庭での指導に前向きになり、学習にも改善が見られたという。

 池谷昭広校長は「専門的な立場から同僚の相談に乗り、保護者にも状況を説明できる存在は重要」と語る。

 ただ、多くの担当教員が通常学級や特別支援学級を受け持つ傍らコーディネーターの業務をこなしているのが実情で、多忙さが課題になっている。県教委などによると、県内で専任教員を配置するのは小学校で506校中103校、中学で264校中57校(いずれも16年度)と約2割にとどまる。発達支援学級を任される今井教諭も手が空いた時間に各教室を回り、児童の様子の把握に努める。

 浜松市教委教育総合支援センターの高橋祥二課長は「現状の教育体制では難しいが、基本的には専任にすることが望ましい」と話す。



 ■個別ニーズ対応目指す

 養護学校や特殊学級で行われていた「特殊教育」に代わり、2007年4月に始まった特別支援教育。障害の種類や程度で分けるのではなく、児童生徒一人一人のニーズに応じて学習上の困難を克服することを目指す。個別の教育支援計画を策定し、教員や保護者、医療・福祉関係者らが連携して支援する。

 対象も知的障害や肢体不自由などに加え、軽度の発達障害も含むようになった。文部科学省の調査(12年度)では小中学校の通常学級で「学習面や行動面で著しい困難を示す」児童生徒の割合は約6・5%。支援対象が増えたことで校内外の関係者の連携が重要になり、“つなぎ役”として特別支援教育コーディネーターの配置が義務付けられた。

 コーディネーターの「専任化」については、政府の教育再生実行会議が5月に安倍内閣へ提出した「提言」で実施を求めている。文科省の担当者は「単純な教員加配は難しいが、言語聴覚士や作業療法士など専門の医療スタッフを活用できる体制を整え、負担軽減を図りたい」と話す。

静岡新聞社