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【ウルトラセブンを創った人たち】(7)今、覆る「ノンマルト」の定説

6/27(火) 15:01配信

スポーツ報知

 セブンにおける金城哲夫のシナリオの中で、最も有名な作品といえるのが、第42話「ノンマルトの使者」だろう。

 謎の海底都市「ノンマルト」。そこに住む海底人こそが本来、地球に住んでいた知的生命体だった。それが、現在の人類の侵略により海底に追いやられたのだ。人類は今度は海底開発を目指し、ついにノンマルトの生存エリアを侵し始める。「地球人こそが侵略者だ」というノンマルトの代弁者の少年を前に、変身を躊躇(ちゅうちょ)するダン…。

 この作品には、沖縄出身の金城が歴史的事実として故郷(琉球)が味わってきた本土(薩摩)からの侵略や、当時、沖縄を占領していた米軍との関係、それらに起因する「無自覚の加害意識」などを忍ばせたのではないか、といわれている。「ノンマルト」の語源も戦いの神(マルス)に否定の「NON」を付けたもので、沖縄戦を体験している金城の反戦思想が込められている、とも―。

 が、長く金城と仕事をしてきた脚本家・上原正三は、この“定説”を真っ向から否定した。

 「彼とは随分、一緒にいましたが、沖縄戦の話なんて聞いたことがない。もっと胸の内に秘めたものなんです。金城は沖縄戦で、それこそ筆舌に尽くしがたい経験をした。母親が機銃掃射を浴びて、目の前で片方の足を失った。洞窟に逃げ込んだものの『もうダメだ』ということで、金城を祖父母に託し、いったんは離散しているんです。それが後年、『お袋孝行をしたい』と円谷プロを辞めて沖縄に帰っていく理由にもなっている。本当に深い悲しみは口には出せないもので、それをシナリオに落とすことなんてなかった。『ノンマルト―』に反戦や政治的思想なんてありませんよ」

 監督を務めた満田★(かずほ)も「『ノンマルト』の語源は金城が以前、読んだSF小説にある。その中で地球のことを『ノンマルス』と言っていたそうです。『マルス』はマーズ・火星ですね。『火星ではない星』という意味らしいが、そのままでは使えないから『ノンマルト』にした。金城の造語ですよ」と説明した。=文中敬称略、★=のぎへんに斉

 ◆「キングジョー」は金城

 セブンの中に、金城の名前をもじった敵キャラがいる。第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」、第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」に登場した、ペダン星人が操る宇宙ロボット・キングジョーだ。金城の父親が海外に行った際、「キンジョー」と呼ばれず、どうしても「キング、ジョー」と発音されていたことから、金城は「チャンスがあれば『キングジョー』という名前を使ってみたい」と話していたという。

最終更新:6/27(火) 15:01
スポーツ報知