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月命日のお経を動画配信 「母思い出す」県外から喜びの声

6/27(火) 8:25配信

福井新聞ONLINE

 遠く離れていても、先祖に思いをはせてもらおうと、福井県越前市の長慶寺は、県外に住む檀家らに、月命日などにお経を上げる様子を動画投稿サイトにアップし、視聴してもらう取り組みを行っている。「スマートフォンで眺めながら、亡き母を思い出すことができた」といった喜びの声も届いている。若者を中心とした都市部への人口流出が進む中、地方の寺の新たな取り組みとして注目を集めそうだ。

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 同寺の泰圓澄一法(たいえんちょう・かずのり)副住職(44)は今年2月、関西の友人から「母が亡くなった。葬式を挙げてほしい」と頼まれ向かった。葬儀は無事終えたが「月命日などはどうするのだろう」と思い、こう提案した。「四十九日までの7日ごとのお参りや月命日のお経を動画にアップするから見てほしい」

 動画はスマートフォンを固定し撮影。手を合わせながら「○○家の皆さん、寒くなっていますが、いかがお過ごしですか」といったあいさつの後、約15分の読経に入る。映像はその都度、動画投稿サイト「ユーチューブ」に非公開の限定動画としてアップしている。取り組みは広がり、これまで3組に計約20の動画を配信している。

 「部屋で1人でお経を聞きながら、亡き父母に思いをはせることができました」「座布団の上にスマホを置き、家族みんなで読経の動画を見ました。お経に家族が親しんできました」「ずっと手を合わせながら聞いていました」。投稿後は喜びの声がメールで届いた。

 都市部への人口流出が進み、子どもが住む別の場所に墓をつくるため、墓じまいをするケースが増えている。厚生労働省によると、墓の移転件数は2008年度は7万2483件だったが、15年度は9万1567件と26・3%増。墓の移転によって、元々の寺との関係が途絶えることも多い。

 泰圓澄さんは「動画は寺と人、そして古里がつながる一つのツール。ネットとはいえ、限定動画にすることで、1対1の関係が築ける。若い人がお経に触れる機会にもなっている」。離れた場所に住み、墓参りができない人も多いことから「要望があれば、われわれが墓参りする動画を投稿することも考えていきたい」と話している。

福井新聞社