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今週の一枚 WANIMA『JUICE UP!! TOUR FINAL』

6/27(火) 12:25配信

rockinon.com

2017年3月19日に行われた公演の模様を伝える、はじめてのライブ映像作品である。で、はじめてのワンマンがさいたまスーパーアリーナ。大規模ホールも武道館もすっとばして、いきなりさいたまスーパーアリーナ。もちろん、そのセンセーショナルな規模感の話題は無視できるものではないけれど、あの日あのときその場に居合わせた人なら、そのライブが決して話題性先行のライブではなかったということを思い出せるはずだ。

「普段、面と向かって言えないことも、音楽やったら、歌やったら、音に込めたら、俺ら3人は伝えられる気がしてて。だからほんとすごく、音楽に救われてます。その音楽で、こんなたくさんの人、こーんなたくさんの人が、さいたまに来てくれて、幸せです。ほんとに出会ってくれてありがとう! もうあと何回、このメンバーで、この人数で、この、今日のメンツで会えるか分からんけど、精一杯歌いたい歌があるけん、歌わせてください、お願いします」

ライブも後半というところで、KENTA(Vo・B)はそんなふうに語り、“Hey yo...”を歌い出す。どこかに必ず歌を必要としている人がいるということ。一方で、思いを伝えたくても二度と伝えることのできない人がいるということ。WANIMAというバンドが、そういう切迫感に駆り立てられながら走り続けているということを、ありありと伝える1シーンだ。彼らが抱え込んでいるそんな最も大切なことに比べたら、ライブ規模のステップアップのセオリーなんてのは二の次の話である。

同時収録されたツアードキュメンタリーの中では、KO-SHIN(G・Cho)もさいたまスーパーアリーナの規模感に見合うパフォーマンスが出来るようになった、という手応えを語っている。レーザーや炎、巨大なLEDスクリーンを用いた映像演出はこの大舞台に相応しいものではあるけれども、何よりWANIMAの楽曲群は、スピード感や楽しさはそのまま、むしろもともと備えていたポテンシャルを伸び伸びと発揮するようにして、大会場に響き渡っていたのである。

時折、オーディエンスと目線を揃えるような躍動感/臨場感あふれる映像が差し込まれるのも、「WANIMAの歌が聴こえている場所」の興奮を生々しく伝えるようだ。ブリッジ状の花道を、FUJI(Dr・Cho)が例のモノマネをしながら練り歩くシーンは音声がカットされているし(そりゃそうだ)、アンコール部分もほぼ収録されていないけれど、なぜWANIMAがこの尋常ならざるスピードでさいたまスーパーアリーナへと駆け上がってきて、その先へと向かっているのかという本質の部分が、この作品には込められている。ぜひ最後まで、しっかりと見届けてほしい。(小池宏和)

rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

最終更新:6/27(火) 12:25
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