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まだまだ高コストな太陽光発電、システム費用低減を目指す新プロジェクト

6/28(水) 7:10配信

スマートジャパン

 2012年からスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」で、大量導入が進んだ太陽光発電。しかし、海外と比較すると日本の太陽光発電のコストはまだまだ高い。経済産業省の調達算定等委員会の調査によると、現在の太陽光発電のシステム費用は約30万円/kW(キロワット)に近く、これは欧州の約2倍の水準にあるという。国民負担の軽減、さらには将来のFITから自立した市場形成に向けて、発電コストさらなる低減が必要になる。

 そこで調達等価格算定委員会は2016年末にまとめた方針の中で、太陽光発電の長期的な価格目標を定めている。非住宅太陽光発電の発電コストは、2020年に14円/kWh(キロワット時)、2030年に7円/kWhに引き下げる価格目標を掲げた。加えて、この発電コストの実現に必要な太陽光発電のシステム費用は14円/kWhの場合20万円/kW、7円/kWhの場合10万円/kWと試算している。

 住宅用については、2019年に調達価格を家庭用の電気料金並みに、2020年以降、早期に売電価格を電力市場価格並みに引き下げるという目標だ。なお、調達等価格算定委員会の調査によると、10kW未満の太陽光発電のシステム費用の価格は、2016年の平均で36.7円/kWである。目標ではこのシステム費用を、2019年までに売電価格24円/kWhを達成できる30.8万円/kWに、その後できるだけ早期に売電価格11円/kWhを実現する20万円/kWまで低減するとした。

NEDOが新しい研究開発に着手

 太陽光発電のコスト低減に向けて、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2014年からの5カ年計画で「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」を進めている。製品価格が下降傾向にある太陽電池と比較すると、周辺機器や施工費などはコスト低減が進んでいない。そこで同プロジェクトは、周辺機器や工事を含めた太陽電池を除く発電システムの初期導入コストであるBOS(Balance of System)や維持管理の分野を対象に、システム効率の向上やコスト削減に貢献する技術の開発を目的としている。加えて、事業期間が長期にわたる太陽光発電システムの安全を確保する評価・設計手法の確立や、発電システムとしての信頼性の向上につながる研究開発も対象としている。

 NEDOは先述した調達等算定委員会が発表した新たな太陽光発電の価格目標を考慮した、新しい研究開発テーマを公募した。その結果、実施期間を2年間として、太陽光発電システムのBOSコスト低減を目指す技術開発を2テーマ、発電量を10%以上増加させ、システム効率の向上を目指す技術開発2テーマを採択した。

 BOSコストの低減に向けたプロジェクトでは、10kW未満の住宅用で2019年にシステム価格30.8万円/kW以下、非住宅用で2020年にシステム価格20.0万円kW以下を実現する技術の開発を目指すのが目標だ。

 委託先は三洋電機とカネカだ。三洋電機は建材一体化した太陽電池を利用した、住宅屋根向けの長寿命モジュールの開発を目指す。同時にこのモジュール向けの低コストな架台および施工技術の開発にも取り組む。既に建材一体型の太陽電池モジュールを開発しているカネカは、さらなる高耐久性化とBOSコストの削減を目指す。

 BOSコストの低減を目指すプロジェクトの委託先は、カネカと公害技術センターだ。このプロジェクトでは、BOSコストは現状の水準を維持しつつ、システム全体での発電量を10%以上向上させることを目的としている。カネカは建築物の内部に設置し、採光を利用して発電できる太陽光発電システムの開発を目指す。壁面に垂直に設置する両面発電タイプ太陽電池モジュールを使い、太陽光を効果的に入射させて発電量の向上を図る仕組みだ。同時にこのシステムを低コストに設置できる施工技術も開発する。公害技術センターは、多雪地域用の非常電源機能付き太陽光発電システムの高効率化および低コスト化に取り組む計画だ。