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NVIDIAのモンスターGPU「Tesla V100」は、自動運転の未来をどのように変えるのか?

6/28(水) 12:10配信

ZUU online

■ディープラーニングの火付け役

日本国内のニュースでも大きく取り上げられ、今やAI市場を牽引する企業のひとつとなったNVIDIA(エヌビディア)。確かに数年前までIT業界以外で話題に上ることが比較的少ない企業ではあったが、実はディープラーニングが脚光を浴び始めた2013年頃から現在に至る「第3次AIブーム」の陰の火付け役であった。

ディープラーニングは、脳の神経回路を模したニューラルネットワークを多層的に用いることでAIに自律学習をさせるアプローチである。ニューラルネットワークの研究自体は1950年代から始まっていたが、2006年にジェフリー・ヒントンによって提唱されたアルゴリズムであるオートエンコーダーがディープラーニングの原型となった。

しかし、それを活用したAIを実現させるためには深層学習モデルであるディープニューラルネットワークに読み込ませたビッグデータを高速に並列処理するシステムが必要である。その鍵となるのが半導体の処理速度であった。

NVIDIAは早い段階からディープラーニング向けのGPU(グラフィック処理ユニット)を開発していた。大量のグラフィックス処理や演算処理を同時に行うことのできるGPUは、ディープラーニングの開発に不可欠である。2016年にはディープラーニングに最適化させたTesla P100とともに、Tesla P100を8基搭載したディープラーニング向けのスーパーコンピューターDGX-1を発売。日本円に換算すると1台約1,400万円という高額にもかかわらず、生産が追いつかないほどの売れ行きとなった。

■1年間でディープラーニングの学習性能を12倍に

そして2017年5月10日(現地時間)、米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたGPU Technology Conference 2017(GTC 2017)にて、NVIDIAのCEOジェン・スン・フアン(Jen Hsen Huang)は 、Voltaアーキテクチャを採用した初のディープラーニング用GPU「Tesla V100」を発表した。V100はディープラーニング用に4×4のマトリックス演算を行う「New Tensor Core」640基を内蔵し、ディープラーニングの性能は最大120TFLOPSに達する。これは現行モデルP100の12倍の学習性能である。

DGX-1の後継モデルDGX-1 with Tesla V100には、Tesla P100に代わりTesla V100が8基搭載される予定だ。DGX-1 With Tesla V100は960 Tensor TFLOPSの演算性能を持ち、フアン氏によればディープラーニングにおいてサーバー400台分の処理能力を持つという。これによってTitan Xで8日間かかっていた処理が僅か8時間でできるようになる。前年のPascal世代のDGX-1を発表した時点では、従来なら数ヵ月間かかっていたニューラルネットワークトレーニングを数日でできるとしていたので、NVIDIAの半導体技術の発展速度には驚かされるばかりである。

同時に発表されたXavierは、ディープラーニングにおける推論で多用される次世代SoCであり、30ワットの低電力で毎秒最大30兆回の演算を行うことができる。こちらはクラウドとの連携機能を備える自動運転車向け車載AIコンピューター「DRIVE PX」に搭載される予定だ。

■また一歩実現に近づく完全自動運転

今回発表されたこの一連の技術が自動運転の発展にもたらす影響は大きい。なぜなら、自動運転車が実用的で安全なものであるために最も大切なことは、標識や障害物、歩行者、車線や交通の規制、速度制限などの認識をディープラーニングによって高速処理をし、的確な判断をしながら自律学習することだからである。

フアン氏は、講演の終盤でトヨタ自動車に「DRIVE PX」を提供すると発表した。このプラットフォームでは、クラウド上で高速処理されたニューラルネットワークトレーニングによって得られるモデルを、車載端末でリアルタイムに実行することができる。端末となる車載AIコンピューターの処理速度が上がることで、端末とクラウド間の情報のやりとりが効率的になり、瞬時に適切な判断ができるようになる。

NVIDIAは既にフォルクスワーゲングループに属するアウディ、メルセデス、ボルボ、テスラモーターズと契約をしている。今回5社目となるトヨタと契約をしたことで、自動車業界における同社のプレゼンスがいかに大きいかを世界に知らしめたことになるだろう。そして、大手5社の端末から得られるビッグデータによって、NVIDIAの自動運転プラットフォームは飛躍的に進歩することが予想される。自動運転4段階の最終段階である、車両の完全自動制御の実現がまた一歩近づいたと言えるだろう。(提供:MUFG Innovation Hub)

最終更新:6/28(水) 12:10
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