ここから本文です

助っ人補強に消極的だった 阪神金本監督の本音は“広島化”

6/28(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「実は、金本監督はあまり乗り気ではなかったそうだ」

 阪神OBがこう耳打ちしたのは、近日中にも右打者の大砲助っ人を緊急補強することについてだ。

 27日、阪神はロジャース(パイレーツ3A)の獲得に一本化したと報じられた。白羽の矢が立ったロジャースは一塁手として今季3Aで打率.288、8本塁打、32打点と、それなりの成績を残している選手だ。

 現在2位の阪神は27日の中日戦で敗れて5連敗。首位の広島に今季最大となる6ゲーム差をつけられた。13日の西武戦で7点を取って以降、5得点以上の試合はない。

 貧打に悩むチームは、新助っ人キャンベルが不振で二軍落ちするなど期待外れ。一発が期待できる中軸候補はたしかに、12年ぶりに優勝を狙うチームならノドから手だろう。

■古巣がお手本

 しかし冒頭のOBは、「金本監督が乗り気ではなかった」という真意について、こう言うのだ。

「外野手を取るというなら福留の休養日にピンポイントで起用できますけど、一塁の助っ人が来ることで一塁のレギュラーを争う原口、中谷の出番が減る。優勝を争う広島を見れば、選手育成を促すための土台づくりに力を入れるべきなのは明らか。金本監督の理想とするチームも、今の広島だからね」

 現在の広島は、1番から田中、菊池、丸、鈴木と生え抜き選手が並ぶ。いずれも足が速く、ホームランも打てる。守備力もある。そこに新井、石原といったベテランやエルドレッドら助っ人がドッシリ構えている。

 もっとも、広島とて一朝一夕でチームが強くなったわけではない。昨年のリーグ優勝は25年ぶりだったように、チームが成熟するまでに長い年月を要した。今の阪神は、高山や原口ら若手が成長過程にあり、“広島化”するにはまだまだ時間がかかる。マスコミ関係者が言う。

「広島の二軍には、ドラフト4位新人の坂倉(日大三高)ら将来のレギュラー候補がゴロゴロいます。さらには、三軍の存在感が増している。広島の三軍は巨人のように独立して試合をこなすものではなく、主力のリハビリと若手育成が柱。浅井統括コーチら3コーチに加え、トレーニングコーチとトレーナーもいて、一、二軍との指導方針と一貫性がある。13年からは高卒投手を三軍の指定強化選手として養成するようになった。二軍の試合に出る前に体やフォームなど土台づくりをするのが目的。13年ドラフト5位で高卒4年目の中村祐は今季、初の一軍昇格で3勝をマークしている。彼も三軍からみっちり鍛えられたクチ。これには中村祐のような好素材を発掘するスカウティング力も必要不可欠です」

■育成コーチ復活

 阪神も昨オフ、育成コーチ制を復活させ、昨年引退した福原、藤井両コーチが就任した。かつて星野監督時代の03年にスタートしたが、和田前監督時代に廃止されていたものだ。

 高卒新人の才木(須磨翔風)ら新人3投手は福原コーチの下、鍛錬を重ねている。長年、育成が課題だった阪神にとって必要なのは、若手を育てるための土台を、より強固にしていくことだろう。

「助っ人を1人獲得するためにはシーズン途中とはいっても年俸や契約金などで億単位のカネがかかる。ちなみに、新しいファーム施設を造ったソフトバンクの三軍の年間運営費は3億円程度といいます。阪神が三軍を創設するかどうかは別にして、未知数の助っ人に1億円払うくらいなら、育成部門を強化するために使った方が身になるのではないか。きっと金本監督はそう考えているでしょう」(球界関係者)

 阪神は人気、注目度が高く、とかく結果が求められがちだが、一方でじっくり腰を据えて取り組むべき課題が山ほどあるのだ。