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沼津の酒蔵「白隠正宗」が甘酒 独自路線で「コミュニケーション」開発へ /静岡

6/28(水) 16:10配信

みんなの経済新聞ネットワーク

 高嶋酒造(沼津市原)が6月1日から新商品「あまざけ」の出荷を本格化させた。(伊豆経済新聞)

 高嶋酒造は1804(文化元)年創業の酒蔵で、「白隠正宗」ブランドを展開している。酒蔵にはおよそ300年掛けて湧き出ているという富士山の湧き水を使って酒造りを行い、現在は高嶋一孝社長が杜氏(とうじ)を務める。

 新商品「あまざけ」は、同酒造が酒造りで使っている国産米こうじと湧き水を使ったもので、砂糖などの添加物を入れていないのが特長。高嶋さんは「構想から2年ほど試行錯誤した。酒かすから造るものでなく、こうじの本来の甘みと風味がある」と話す。

 高嶋さんは大学卒業後に企業に就職した後、2002年に高嶋酒造に戻り、社長に就任。「最盛期には4500の酒造所があったが、現在は1300ほどに減少している。私が社長に就任した時も、経営はとても苦しい時代だった」と振り返る。

 当時のメイン取引先は旅館やホテルなどで、安価に買いたたかれてしまうことが多かったという。高嶋さんは社長就任時、「日本酒は米を買い付けて商品になるまで1年。そして手形決済となるとキャッシュフローが悪くなる」と指摘。低価格帯の日本酒の販売を止め、独自路線の日本酒の開発へとかじを切った。

 目指したのは「この地でしか作れない、最高のコミュニケーションツール」になる日本酒。高嶋さんは「飲み飽きない味で、目立ちすぎることのないもの。会話が弾むきっかけになり、常に愛される酒を目指した」と話す。

 それまで販売していた酒は1升で1,000円前後の安価なもので、生産高をアップさせるためにアルコール添加を行っていたが、5年ほど前から全ての銘柄で完全廃止。現在は、素材・製法に注目した酒造りが評価され、グルメ雑誌などでも紹介されるほどになった。

 同商品は、こうじの酵素がでんぷんを糖に変化させる事で甘さを生み出し、自然で上品な甘みを造るという。高嶋さんは「100ミリリットルで95カロリーとエネルギー量は高い。夏バテなどの食が細くなる時期に飲んでもらいたい」と話す。

 今後は国内だけでなく、海外へのアピールを視野に入れている。「一時代前まで酒造りは『生活のため』に行ってきた蔵も多かったが、今後は『理念』や『志』を持ち仕事のモチベーションが上がる蔵にしていきたい」と意気込む。

 「あまざけ」の価格は1,080円。蔵に併設する店舗、市内の酒販店などで販売している。

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