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「α9」にはミラーレス機の未来が詰まってる

6/28(水) 16:36配信

ITmedia LifeStyle

 いやあ「α9」はスゴかった。思った以上にスゴかった。

 α9はソニーのαシリーズのフラッグシップ機である、という以上にミラーレス界のフラッグシップ機だ、といってもいいくらい。ミラーレス機の新しい基準になる1台というか、これを触ると他のカメラがなんかもっさりしてる気がしてヤバいというか、さすがソニーというカメラだったのだ。

背面から。ジョイスティックの追加が大きな変更点だ

 これを使ってると、ついつい連写しまくってSDカードの「ギガが減る」……ヘンな日本語だけど、まあご容赦を。

 ソニーはα7シリーズという35mmフルサイズセンサーを使った立派なシリーズを持ってる。「α7」「α7 II」と来たにも関わらず、これはα9だった。α7シリーズの後継がα9なのではなく、デザインテイストはα7系と同じながら、設計コンセプトが異なるカメラと思っていいだろう。

 α9のコンセプトは速さ。それもハイエンドの一眼レフをぶっちぎる速さ。とりあえずそれである。

 AFの速さ・連写の速さ・シャッタースピードの速さだ。

●α9はなぜ速いのか

 連写速度やシャッタースピードの壁になるのは物理的な動作だ。

 具体的には2つ。1つはミラーボックス。1枚撮るたびにミラーが上下に動く。ミラーレス機はミラーボックスを持たないのでこれはクリア。

 もう1つはシャッター。センサーの前に付けられたシャッター幕が物理的に動いてセンサーに当たる光をコントロールしている。これを使わないで電子シャッターにすればシャッタースピードや連写速度をもっと上げられる。

 α9はメカシャッター時は1/8000秒だが、電子シャッター時は1/32000秒までOkだ。

 ただ電子シャッターには欠点がある。撮影時にカメラを動かしたり被写体が高速に動いていると、歪みが出るのだ。これはイメージセンサーの構造に由来するものなのでゼロにはできないが、センサーからの読み出し速度を高速化することで軽減できる。ソニーはそれを「アンチディストーションシャッター」と呼んでる。

 確か、「RX100M4」で最初に登場した。その後ソニーは多くのイメージセンサーでそれを発展させ、最新のスマホ「Xperia XZ」でもそれを実現している。

 α9はイメージセンサーにバッファとして使えるメモリを積んだメモリ搭載の積層型CMOSイメージセンサーを新たに開発。

 これにより、ディストーションが少なくなり、高速読み出しを利用した秒約20コマの連写を実現した。

 固定フォーカスで高速連写なら今までもあったが、35mmフルサイズでAF追従しながらの高速連写である。これはすごい。

 ちなみにメカシャッター時は秒約5コマなのでその差が分かるはずだ。

 電子シャッターだとシャッター音がなくなるので、静かな場所での撮影にもいい。もともとα系ってシャッター音が大きめなので、その差に驚くはず。

 ディストーションが完全になくなったわけじゃないので、万能ではないが、シャッター方式は簡単に切り替えられる(デフォルトでC3ボタンに割り当てられている)ので、自分であれこれ試してみて判断するのがいいだろう。

 単に高速連写するのみならず、α9がすごいのは連写時の快適さ。

 高速連写時はファインダー像がちょっと止まったり遅れたりして動く被写体を追いづらくなるカメラが多いが、α9はファインダー像が焼失しないのである(ブラックアウトフリー)。しかもEVFや背面モニターの更新も速くなり、タイムラグもまず感じない。だから、ファインダーを見ながら動く被写体を迷わず追えるのだ。

 飛んでるウミネコもばっちり追えた。

 これが気持ちいい。気持ちよすぎて撮影枚数があっというまに数百枚になる。

 もう1つ、連写が終わったからといってデータの書き込みを待つ必要はない。バックグラウンドで動いてくれるし、バッファもけっこうあるのですぐ次の撮影ができる。JPEGなら約362枚まで連写できるそうな。

 高速な連写に欠かせないのがAF追従。

 AF固定の超高速連写なら珍しくないが、α9はAF追従で秒20コマを実現した。

 像面位相差AFセンサーは693点で画面をほぼ網羅。一眼レフに対して大きなメリットになる。

 今回は基本的にAF-Cで撮影しているが、被写体がはっきりしたシーンではオートのままでもメインの被写体を追ってくれた。動体追従も以前より優秀になったと感じる。

 ただそれだと意図しない被写体にフォーカスがいっちゃうこともあるわけで、確実に狙うにはフレキシブルスポットAFにしてAFポイントを指定してやる。

 α9ではAFポイント移動用のジョイスティックが新しくついたため、AFポイントの移動も格段に便利になった。今までのαシリーズはけっこうそれが不満だったのだ。

 で、AFはめちゃ速い。一瞬でさっと合うし、一度捉えたら高速連写時もきっちり追ってくれる。これはすごい。

 が、被写体が小さくて暗いなど状況によってはフォーカスが抜けちゃってなかなか合わないシーンもあり、まだレベルアップの余地はありそうだ。

 さらに、APS-Cサイズへのクロップもできる。APS-C用のレンズを装着すると自動的に切り替わるが手動で切り替えることも。

 人を撮るときは顔検出が効くが、35mmフルサイズになると被写界深度が浅くて手前の目に確実にフォーカスを持ってきたい。そのため「瞳AF」機能があるが、これがセンターボタンに割り当てられているだけで、ちょっと分かりづらい。顔検出や瞳AFといった機能も他のAF関連の機能と近い場所に分かりやすく置いてほしいと前から思ってる。

 ISO感度はISO100から51200まで。拡張ISO感度として下限はISO50、上限はISO204800。

 ざっとこんな感じ。

 手ブレ補正はボディ内に5軸手ブレ補正を搭載。電子シャッターにするとメカシャッター時の微細な振動がなくなるので、かなり抑えられる。

●使い勝手もα7よりあがってよりハイエンド機らしくなった

 一番の特徴である速さの話は一段落として、カメラの話を。

 ボディサイズや基本デザインはα7IIシリーズとほとんど同じ。

 EVFは約368万ドットとより高精細になった。0.78倍で大きくて見やすい。

 背面モニターは3.0型で144万ドットのチルト式。晴天下では見づらくなるが、そのときは晴天モードにするとぐっと明るくなる(その代わりバッテリーの減りがちょっと早くなる)。

 モニターはタッチパネルにも対応。AFスポット指定と再生時に使える。

 操作系はちょっと変わってよりハイエンド機らしく、従来AF/MF/AEL切換レバーがあった位置にAFスポット移動用のジョイスティックがついた。

 上面には左肩にドライブモードとフォーカスモードのダイヤル。

 ダイレクトに操作できる項目が増えてより素早い操作が可能になったわけである。

 α9はα7系同様フルサイズのハイエンド機としては非常にコンパクトである。手が大きいとグリップから小指がはみだしてしまう。気軽な撮影ならいいが、しっかり撮るなら小指もちゃんと使いたいわけで、別売りで「グリップエクステンション」が用意された。

 また、バッテリーを2つ入れられる縦位置用グリップも用意された。ボディは大きく重くなるがバッテリーを1つ追加できるのはうれしい。

 ではこの辺で普通の作例をどうぞ。

 メディアはデュアルスロット。縦に2つ並んでいる。

 上がスロット2でSDXCとメモリースティックDuoの兼用。下がスロット1でSDXCカード専用。こちらはより高速なUHS-IIに対応してる。

 左側面には有線LAN端子やストロボ用のシンクロターミナル、マイク端子などが用意されている。

 USBはmicroUSBで、このプロ向けハイエンドクラスながらUSB充電に対応。ハイエンド機らしく本体には専用のバッテリーチャージャーも付属するが、本体にUSB充電もできるのでいざというとき非常に助かる。

 今回は動画にまで手が回らなかったが、当然4K対応。6K相当のデータを4Kにするオーバーサンプリングを実現。フレームレートは4Kで30p。ビットレートは最大で100Mbpsだ。

 ユニークなところではBluetooth対応。

 スマートフォンとBluetoothで常時接続することで、スマホで得た位置情報を画像に書き込む機能と「スマホを使って日時を自動設定する機能を持った。本体にGPSを持たなくてもスマホを常時携帯することでけっこう正確なジオタグもつけられるのはよい。

 このスマホを利用したジオタグの自動追加はわたしが知る限りニコンとソニーだけ。これは便利なので他社も真似していただきたい。個人的にはカメラにGPSを内蔵するより便利かと思う。

 とまあざっとこんな感じ。

 これで一眼レフのフラッグシップ機を超えたかというと、その辺はプロが苛酷な現場で使った報告を待たないと分からないし、α9のデザインや操作系が好みに合う合わないはあるだろうが、少なくとも今までとは次元の違う世界へ踏み込んだ、次世代ミラーレスなのは間違いなく、数年後にはミドルレンジクラスまでこの性能が落ちてくるとうれしいなと切に思う。

 冒頭にも書いたけど、まさしくミラーレス一眼界のフラッグシップ機であり、目指すところを見せてくれた。ミラーレス界の将来が楽しみ。

 いやあ、すごいカメラでありました。

最終更新:6/28(水) 16:36
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