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大野智、クリエイターから「そのまま」を求められる理由

6/29(木) 8:40配信

オリコン

 人気グループ・嵐の大野智が、映画『忍びの国』(7月1日公開)で主演。俳優としてもその演技に定評がある彼だが、これまでの出演作の役作りにおいても、監督から「そのままでいい」と言われることが多く、困惑することもあるとか。自然体を求められる大野智、彼の俳優としての魅力はどこにあるのだろうか。芝居への向き合い方について、大野に語ってもらった。

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◆シリアスからコミカルまで、どんな役柄も演じ切る才能

 嵐のリーダーである大野智。メンバーの中でもひときわ口数が少なく、いつものんびりとした人柄を伺わせる印象だが、実は彼が“動いたらすごい”ことは、メンバーはもちろん、多くの人々が認めているところだ。ダンスの巧さはジャニーズの中でも際立ち、持ち前の音感で発する伸びやかなファルセットボイスにも定評がある。さらに、あの飄々とした姿からは想像できないほど、シリアスからコミカルまで、どんな役柄も演じ切る才能も持ち合わせている。

 例えば、ヒットドラマ『魔王』(2008年 TBS系)では復讐の鬼と化した敏腕弁護士を、哀愁を漂わせつつクールに体現。続く『怪物くん』(2010年 日本テレビ系)では、人気漫画の主人公に扮し、独特のキャラクターを作り上げることに成功。近年の『世界一難しい恋』(2016年 同系)でも、大人とも子どもともつかない社長役を演じ、視聴者の笑いと胸キュン、涙を誘った。俳優としての力量も、推して知るべしなのである。

◆求められる「そのまま」、クリエイターたちの創作意欲をかき立てる存在

 そして、そんな才能をあらためて知らしめるのが、近く公開される映画『忍びの国』だ。舞台は、織田信長が諸国を制圧しつつある戦国時代。信長の長男・信雄は、父に認められたいがために難攻不落とされる伊賀忍者の村を攻撃。しかし敵は一筋縄ではいかない忍者集団であり、とりわけ無敵と称される忍び・無門によって目論みは破れようとしている…。大野が演じるのは、この無門だ。

 「単純に言えば“伊賀一強い忍者”ではあるんですが、その裏には親から捨てられて、自分の本当の名前すら知らないという傷がある。でもそんな思いは表に出さず、表面上は怠け者を装っているんです。だいたい、あんなに強くなるためには死ぬほどの修行をしてきたはずなのに、それも人に見せない。いろいろなことを胸に秘めている、深い、孤高の男だなと思っています。僕もどちらかといえば、自分が頑張っている姿は照れくさくて人に見せられないので、そういうところはちょっと似ているのかもしれないです」

 大野自身が語る言葉通り、美しい恐妻・お国のためだけに戦ってひたすら金を稼ぐ無門は、コミカルなキャラクターとして登場する。だが、織田との闘いが激化したあたりから、無門のまなざしや表情には鋭さや悲しみが漂い、徐々に変貌を遂げる。その変化がスムーズであり、クライマックスとなるエモーショナルな場面をいっそう際立たせるのだが、当の本人は「監督に“そのままでいい”と言われたから」と照れ笑い。監督は、大野の単独初主演映画となった『映画 怪物くん』(2011年)の中村義洋が再び担当している。

 「最初から監督には『無門っぽい』と言われていたんです。どの辺が似てるのかはわからなかったんですけど、それなら変に作り込まなくていいのかなと思いました。でも実際、『そのままでいい』と言われるほうが難しいんですよ。僕は、これまでのドラマや映画のときもそう言われることが多かったんですけど、そのたびに『そのままってなんだ?』と考えちゃう」

 思うに、監督や演出家たちが「そのままで」と言うのは、結局は、飄々とした風貌の中に多彩な才能を秘めた大野智自身が、クリエイターたちの創作意欲をかき立てる存在ということにほかならない。そして「準備していないようでいて、実はちゃんと準備をして現場に臨んでくる俳優」と評する中村監督の言葉からも伺えるように、自身でイメージをきちんと作りつつも固執することなく、現場では臨機応変に対応して役柄に深みを与える技を自然に身につけているのだろう。それが証拠に、無門が感情を爆発させるシーンの撮影が翌日に持ち越しになった時には、「空いた時間はひとりで部屋にこもってじっと集中していました。あの気持ちを作ったまま撮影に臨まないと、できないですから」と、“心の準備”を吐露している。ちなみに、あまりに撮影に集中していて、メンバーの二宮和也が現場に来たのも気がつかなかったそうだ。

 「僕はそのとき監督から演出を受けていて、その隣にいたニノ(二宮)に気がつかなくて。無視したみたいで、悪いことしちゃった。もっとも、ニノは黙って来て、黙って帰っていきましたけど(笑)」

 もちろん、ダンスに定評のある大野だからこそ、華麗な忍者アクションを期待する声も多い。

 「以前に『センゴクプー』という舞台で殺陣はやりましたが、今回は短い刀を使った二刀流なので全然勝手が違うんです。10年前のほうがキレキレに動けたとのは確かですけど(笑)、今回は忍者なので、当時とは違ったアクションを見てもらえると思います」

◆基本は嵐の大野智、「俳優だと思ったことは一度もない」

 芝居にアクション、様々な魅力を有した俳優・大野だが、その根幹は、やはり“嵐”にあるという。

 「自分が俳優だと思ったことは一度もないですね。基本は、嵐というグループでやっている大野智なので。だからこそ、グループを離れてひとりで演技の仕事をするときは、本当にちゃんとやらなきゃという意識になります」

 嵐の活動はもとより、映画やバラエティーで超多忙な毎日。そんな中で “集中力”維持するのは至難の業だと思うが…。

 「怠けるときはとことん怠けます(笑)。ひとりでお酒を飲んで、グータラし。とことんダメになれば、それ以下にはならない。その後は上がるしかないから、自分で無理矢理落とすんです。そうすれば気持ちもしゃんとして、新しいパワーが出てくる感じですね」
(文:金子裕子)

最終更新:6/29(木) 8:40
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