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夜間見守りにロボット技術 転倒防止や排せつ誘導に効果

6/28(水) 16:32配信

福祉新聞

 青森県むつ市の社会福祉法人青森社会福祉振興団の特別養護老人ホーム「みちのく荘」(中山辰巳園長)は、ロボット技術を用いた予測型見守りシステムを夜間の見守りなどに利用している。音とシルエット画像で利用者の状態を知らせてくれる同システムは、転倒防止や排せつ誘導などに効果を発揮。職員の負担軽減にも役立っている。 

 1975年に開所し、2002年に定員60人のユニット型施設に移転新築した同荘(平均要介護度4・3)は、わが国で初めて排せつ記録のIT化やゼリー食の開発、モバイルを使った介護データの記録化などを始めたチャレンジ精神にあふれた施設。移乗ケアにリフトを使用するなど利用者の安全・安心の確保、職員の負担軽減などに力を入れてきた。

 同荘は、転倒や転落のリスクがある利用者の安全確保のため、25年ほど前からセンサーマット式見守りシステムを使ってきた。しかし、利用者がベッドに腰掛けて足を付けるだけでブザーが鳴るため、職員が居室に駆け付ける回数も多く、利用者の状態が分からない不安は職員に大きなストレスになっていた。

 「危険な状態のときにだけ通報され、その状態が画像で分かるシステムはないのか」。新たな見守りシステムを探していた中山園長に14年、経済産業省のモデル事業で、音と映像で通報する無線式の見守りセンサーシステムを検証してほしいという依頼があった。

 しかし、無線式システムは誤報があまりに多く、職員の負担が増すだけだった。そんな苦い経験をした翌年、県介護実習・普及センターから「ノーリツプレシジョン(株)の予測型見守りシステム『ネオスケア』のデモ機がある。有線式で今度は良いから試してみないか」との話があった。

 ネオスケアは、暗闇でも利用者の動きを検出できる赤外線センサーを使用し、さまざまな動作のパターンを認識。「起き上がり」「柵越え」「ずり落ち」などの動作ごとに違う音と、シルエット化された画像で職員のモバイルに通報する。

 また、検知した履歴を自動で録画・保存できるので、利用者の動作の介護記録化や、転倒などがあった際の原因分析などに役立てることもできる。

◆半信半疑で導入

 センターで試用した中山園長は、誤報も少なく、これまでのシステムより精度が高いと実感。同社からネオスケアを3台借り受け検証することにしたが、前年の失敗のツケは大きく、「職員の目は冷たく、顔が引きつるのが分かった」と中山園長は振り返る。

 そんな状況の中、半信半疑で使ってみると誤報も失報もなく、利用者の状態もシルエット画像で把握できるため、夜勤職員に大好評。「もっと入れてほしい」と強い要望があり、16年に厚生労働省のモデル事業を受け、新たに6台を導入した。

 転倒の危険がある要介護度3のNさんの場合、センサーマット使用時に3日間で137回あった夜間の通報回数は、ネオスケアでは25回に減った。ポータブルトイレ使用時に頻回だった通知が減り、シルエット画像の確認で駆け付ける必要性が即時に判断できるので、夜勤職員の業務効率化とストレスの大幅軽減につながった。

 ネオスケアは現在9人の利用者が使用。転倒リスクが高い人や夜間の排せつ誘導が必要な人など、利用者の状態に応じて居室に赤外線センサーを設置している。短期入所して間もない人には、徘徊はいかいの有無などを把握して適切な対応を取るために、ネオスケアを設置している部屋に入居してもらう。

 使用に際しては、本人・家族の了解を得た上で、同法人の倫理委員会の承認を得て設置。使用時間は夜間などに限定し、通報先のモバイルを持つのも各ユニットで1人の職員だけにするなど、プライバシーの保護に最大限配慮している。

 ネオスケアを導入し約3年。転倒・転落などのリスクは減り、夜勤職員の負担も軽減された。今まで1時間に1回の夜間の見守りも利用者の体位交換に合わせ、2時間に1回に減った。

 「ネオスケアは多様な使い方ができる。さらに良くするために、同社にはいろいろな要望を伝えている。ロボット機器を使うにはしっかりとしたルールが必要。作る側と使う側がしっかりチームを組まないといけない」と中山園長は話している。

最終更新:6/28(水) 16:32
福祉新聞