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“店舗以外で売る”コンビニ

6/28(水) 8:16配信

ニュースイッチ

「ひと手間掛ける」に商機、人手不足も拍車

 コンビニエンスストアやスーパーマーケットが“店舗で売る”ビジネスモデルからの脱却にかじを切っている。店舗外での移動販売や配達、ご用聞きなど、「ひと手間掛ける」取り組みに商機を見いだす。一方で店舗運営を支える人材不足は慢性化している。各社は外国人や主婦の活用で、サービスを充実する構えだ。

 ローソンは2日に大分県杵築市の中山間地域で移動販売を始めた。市や地域の社会福祉協議会などと連携し、高齢者世帯の安否確認の役割も担っている。

 永松悟杵築市長は「移動販売が巡回するのは、小学校が閉校になり、子どもの声があまり聞こえなくなった地域。高齢者は(自動車)免許返納のプレッシャーを感じる一方、周辺に商店がなく、安心して暮らせない状況だ」と説明する。


 同社は冷凍やチルドなど四つの温度帯に対応した移動販売車に、約300品目を積み込んで地域をまわる。店舗で総菜やカット野菜を扱っているが、高齢者からは生鮮食品を買い、自分で料理したいとの声が多いという。

 そこで自社店舗では取り扱いが少ない刺し身や精肉を、近隣にあるJAグループの食品スーパー「Aコープ」で積み込んでいる。

 販売を担うのは、社会福祉協議会経由で応募した60代の男性だ。「この間頼まれた飲み物、持ってきたよ」「暑いね、アイスクリームあるよ」と、買い物客に積極的に声かけをしている。常連だった人が来なくなったり、会話で異変を感じたりした場合に、社会福祉協議会に伝えるのも大事な仕事だ。

移動販売のニーズは過疎地だけではない

 移動販売に来る人の大半は高齢者だ。ただ、「日々の買い物は子どもがしてくれている」「普段は車で買い物をしている」と、現時点では買い物に不自由しているわけではないという。一人暮らしの女性は「(販売スタッフや他の買い物客と)交流できるのがいい」と好意的だ。

 ローソンの鈴木一十三マーケティング本部ラストマイル推進部長は「移動販売をやりたい店舗オーナーは多い」と語る。移動販売の需要があるのは、過疎地だけとは限らない。工事現場や高齢者施設などもまわっており、「ローソンが街に溶け込む一つのきっかけになっている」という。

 イオンリテールは5月、千葉県茂原市で移動販売を始めた。販売の起点となる茂原中央病院近辺はJR茂原駅前の「イオン茂原店」からは車で約5分、徒歩では約30分だ。ただ週末などはバスの本数が少なく、車がない住民は買い物が不便な状況だ。

 イオン茂原店のスタッフが生鮮食品などを軽トラックに積み、週4回巡回する。移動販売車にない商品がほしい場合はスタッフに注文すると、後の便で届ける。

 イオンリテールは千葉県や神奈川県で、移動販売を拡大する方針だ。採算性について、竹原秀治南関東カンパニーオムニチャネル事業統括マネージャーは「基本的に運転手が1人で巡回し販売もすることで、コストを抑える」と話す。

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最終更新:6/28(水) 8:16
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