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【ウルトラセブンを創った人たち】(8)燃やしてしまった第1稿

6/28(水) 15:01配信

スポーツ報知

 現在、我々が知っている金城哲夫のウルトラセブンにおける代表作「ノンマルトの使者」は、実は第2稿が映像化されたものだった。この作品でメガホンを執った満田★(かずほ)が秘話を語ってくれた。

 「金城と居酒屋で飲んでいた時、僕が『地球って、本当に最初から我々人類の物だったのかなぁ』とつぶやくと、『ん! 何か話ができそうだ』と、さっさと帰ってしまった。それから数日して『この前の話をヒントに脚本を書いた。ちょっと読んでみてよ』と彼から連絡が入り、渋谷のビアホールで会う約束をしたんです。ところが、会うはずの店の屋号が全く別に一軒、渋谷にあった。携帯電話のない時代ですから、連絡の取りようがない。待てど暮らせど相手が来ないから、お互い『何だよ!』って帰ってしまった。家に戻った彼は、もう一度、脚本を読み返したらしいんですが『面白くない』と燃やしてしまい書き直した。それが、今、我々が目にしている『ノンマルト―』なんです」

 現代のように携帯電話の所持が当たり前の時代だったら、金城と満田は約束通りに落ち合い、「面白い」と満田が言っていたとしたら、全く違った「ノンマルトの使者」になっていたかもしれない。

 「後になって金城は言っていました。『みっちゃん(満田)と会えなかったのは、読ませたくなかった原稿の神様が、2人を引き合わせないようにしたんだよ』って」

 37歳の若さで夭折(ようせつ)した金城哲夫。“速球派のエース”金城に対して“変化球”の脚本で勝負を挑んだ上原正三が、改めてこの希代の作家を語ってくれた。

 「反戦思想も政治的な信条もない。彼は午後3時になると円谷プロを出て、銭湯に行って、夕方から飲み始める。で、翌朝、道端で自転車をまくらに寝ている…そんな豪放磊落(らいらく)な男なんです。パーン、と突き抜けたようなね。そして、もっと宇宙的な感覚で物を見ていた。それが真の姿だし、だからこそ、秀逸な作品が書けたんです」=文中敬称略、★のぎへんに斉

 ◆「ミクロの決死圏」まねた

 上原が自身の作品で印象に残っているものとして、第31話「悪魔の住む花」を挙げた。若き日の松坂慶子演じる女子大生・香織が宇宙細菌のダリーに侵され、ミクロ化したセブンが香織の体内に入り、ダリーを倒す―というものだ。「あれはハリウッド映画の『ミクロの決死圏』(66年)をまねたものなんです。主人公たちがミクロ化されて人間の体内に入る…という。あれを見た後、『セブンが、ああいうふうにちっちゃくなってもいいんじゃない?』という話になってね…」と上原。

最終更新:6/28(水) 15:01
スポーツ報知