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電炉用電極の国際価格急伸、中国の需要増で供給不足顕在化

6/28(水) 6:03配信

鉄鋼新聞

 電炉用黒鉛電極の国際価格が急伸含みの展開となっている。中国での需要増を引き金に供給不足が一気に顕在化したためで、「価格がどこまで上昇するのか見通せない状況」(市場関係者)。電極の調達不安も日増しに強まっており、さながら『電極パニック』の様相を呈している。日本向けのスポット取引で提示価格が3倍近くに跳ね上がるケースも出るなど日本へも影響が出始めた。日本の電炉メーカーも今後、対応を迫られる可能性がある。

 海外市場では4月ごろから電極の品不足が鮮明となった。きっかけはインドの電極メーカーの引き渡し不履行。主原料のニードルコークスの調達難が原因で、これを機に海外の電炉メーカーの間に供給不安が一気に広がった。
 一方、中国では「地条鋼」の操業規制に伴い、既存電気炉への生産シフトが加速。同国内で電極の引き合いが急拡大した。環境規制は電極メーカーにも及んでおり、東北部では今年に入り4社が操業停止に追い込まれた。
 こうした中で中国国内の電極価格は急激に上昇、先月には太径電極の成約価格が1トン6800ドルと2倍以上に跳ね上がったという。
 中国での需給ひっ迫による影響は日本にも出始めている。中国は二次製錬炉用の電極(直径14インチ前後)の主力輸出国で、日本の高炉メーカーや電炉メーカーの多くも中国品を購入する。需給ひっ迫が鮮明となった4月以降、中国から日本への輸出が激減する中、中国の輸出業者の一部は現行価格の3倍近い1トン7000ドル(14インチ)を提示した。
 欧米の電炉メーカーの間でも電極の調達不安は強まっている。米最大手電炉のニューコアは今月、主要電炉メーカーの担当者を集めて来年の電極調達計画に関する説明会を開いた。例年は9月ごろに開いているが、今年は前倒しで開催。来年以降に使う電極を早めに確保したいとの表れとみられている。
 世界の主要電極メーカーは2010年ごろから市場価格の低迷などを受けて電極の減産に動いた。米GTI、独SGL、日本の昭和電工、東海カーボンの大手4社の減産規模は、中国を除く世界の需要量の約3割に当たる年間約25万トンに上る。各社はこの間に遊休設備を他の製品の生産に充てたり、要員を大幅に削減したりしており、供給をすぐに増やせる状況にはない。
 一方、電極原料のニードルコークスも供給不足が鮮明。リチウムイオン電池の負極材向けの需要が伸びているためで、ニードルコークスの調達難が電極生産を抑制する傾向は今後も続く見通しだ。
 日本の電極市場では間もなく今年度下期出荷分の商談が始まる。国内の電極価格は4月に4年ぶりに上昇したが、足元の価格水準は海外の実勢に比べ大幅に割安。ニードルコークスの価格も上昇基調を鮮明にしている。海外市場の『電極パニック』が日本市場に波及するのは確実な情勢で、電炉メーカーは今後、資材コスト高の吸収などを迫られそうだ。

最終更新:6/28(水) 6:03
鉄鋼新聞