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末期がんの人権活動家 獄中から愛の詩に託したもの

6/28(水) 15:53配信

BuzzFeed Japan

中国共産党の独裁に抵抗して投獄され、獄中でノーベル平和賞を受けた人権活動家、劉暁波氏(61)が末期の肝臓がんと診断され刑務所外の病院に移送された、というニュースに、世界中が衝撃を受けている。

その劉氏は詩人でもあることはあまり知られていない。妻に宛てて書かれた愛の詩は、私たち皆に向けられた祈りの言葉でもある。【岩永直子 / BuzzFeed Japan】

妻に宛てて書かれた愛の詩集

劉氏は2008年、民主化を求める「08憲章」を起草し、国家政権転覆扇動の罪で懲役11年の実刑判決を受けた。服役中に決まったノーベル平和賞の授賞式の代理出席さえ認められず、妻の劉霞さんも厳しい監視下に置かれ、面会もほとんど許されない状況が続いていたという。

1989年の天安門事件でも民主化運動を率いて投獄され、その後も政府への批判を弱めることなく、不屈の活動家として知られていた劉氏。詩人としての顔も持つことは広く知られていない。2014年2月、日本で初めて出版された詩集『牢屋の鼠』(書肆侃侃房)には、妻に宛てた激しい愛の詩が73篇収められている。

骨がきしむほどの愛の詩

”かつて君は僕に言った
「すべてわたしが引き受けるわ」
君は頑なに目を太陽に向ける
失明して火炎になってしまうまで
炎は海水を全部溶かして塩にするだろう

愛する人よ
暗闇を隔てて君に伝えたい
墓に入る前に
君の骨灰で僕に手紙を書くのを忘れないでくれ
冥土でのアドレスを書いておくのを忘れないで”
(「引き受ける 苦難の中の妻へ」より)

翻訳した出版社代表で詩人の田島安江さんは、2010年、ノーベル平和賞受賞を報じる新聞記事でこの詩を知り、「ここまで強く深い悲しみに満ちた詩を書く人はどんな人だろう」と強い関心を持った。

唯一、劉氏の詩集を刊行していた香港の出版社から許可を得て、中国人翻訳者の助けを借りながら訳し、日本初の詩集出版にこぎつけた。本の帯には、「骨がきしむほどの愛の詩に触れることは、世界のかなしみに近づくことではないだろうか」と記した。

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最終更新:6/28(水) 16:38
BuzzFeed Japan