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東海道・山陽新幹線の次期車両「N700S」内外装のデザイン決定 なぜこんなに複雑?

6/28(水) 15:57配信

乗りものニュース

「S」を表す青い帯を追加

 東海道・山陽新幹線の次期車両「N700S」。そのデザインを2017年6月28日(水)、JR東海が発表しました。

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 JR東海はおよそ1年前の2016年6月24日に「N700S」の外観イメージを発表していますが、そのときはあくまで“イメージ”で、標識灯(いわゆるヘッドライトの部分)などは未定になっていました。

 N700Sのヘッドライトは、新幹線で初めてLEDライトを採用することも明らかになっています。JR東海によると省エネルギー化、照度向上、長寿命化を実現しているほか、先頭形状を生かして前照灯のサイズを拡大(+20%)することで照射範囲を広げ、視認性向上を図っているそうです。

 N700Sは、東海道・山陽新幹線において、2007(平成19)年に登場したN700系以来となるフルモデルチェンジ車両。JR東海によると「N700S」という名は、東海道・山陽新幹線の車両として定着している「N700」という名称に「S」を付けたものとのこと。「S」は「Supreme(スプリーム:最高)」の「S」で、N700系シリーズ中で最高の新幹線車両であることを表しているといいます。

 またN700Sの外観デザインについて、東海道新幹線の象徴である「白地に青」が踏襲されていますが、N700Sでは先頭の運転席近くに青い帯が追加されました。これは「Supreme(スプリーム)」の「S」を表現。ロゴマークは現在、検討中だそうです。

 なお2013年に営業運転を開始したN700AはN700系の改良型、あえていうならばマイナーチェンジ車両になります。

新幹線の先頭形状、なぜこんなに複雑? 敵は「トンネルドン」

 N700Sの先頭形状についてJR東海によると、N700系の「エアロ ダブル ウイング形」を踏襲しつつ、三次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用。より進化させた、まるで双対の翼を広げたような「デュアル スプリーム ウイング形」を採用したとのこと。N700系もそうでしたが、より複雑な形状になったように見えます。

 なぜ近年の新幹線車両は先頭形状が複雑なのか、その大きな理由のひとつに「トンネルドン」があります。

 列車が高速でトンネルに進入すると、トンネル内の空気が列車によって圧縮され、音速で伝播。この圧縮波が反対側の出口に到達し、外部に向けて放射された際、大きな「ドーン」という破裂音を発生させる、近隣家屋の建具をがたつかせるといった現象が起こることがあります。このトンネル出口から放射されるパルス状の圧力波を「トンネル微気圧波」といい、それによる発生音から「トンネルドン」とも呼ばれています。

 新幹線は高速走行をするにあたって、この「トンネルドン」をいかに抑えて、沿線の環境に与える影響を減らすかがひとつの課題。先頭車両の形状を工夫することによって、それを抑える研究が行われており、その結果として、N700Sの「デュアル スプリーム ウイング形」といった複雑な形状が生まれています。新幹線車両の独特な先頭形状は、現代のシミュレーション技術を駆使した研究の成果でもあるのです。

 JR東海によるとN700Sの「デュアル スプリーム ウイング形」は、愛知県にある同社の小牧研究施設における技術開発の結果、左右両サイドに“エッジ”を立てた形状とし、走行風を整流することで、微気圧波や車外騒音、走行抵抗、最後尾車動揺を低減。さらなる環境性能向上を図っているといいます。

 1997(平成9)年にデビューした500系新幹線は、先頭車両を細長くとがった形状にすることで、トンネル微気圧波を抑え、新幹線初の300km/h運転を実現しました。しかしこの細長くとがった形状により、先頭車両の乗降用ドアが少ない、客席が減るといった課題も発生。そこでN700系(2007年登場)は、「遺伝的アルゴリズム」を活用した複雑な先頭形状を採用することによって「トンネルドン」を抑え、ドアや座席を減らすことなく、300km/h運転の実現に成功しています。

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