ここから本文です

ソニーストアのノウハウを外販、クレーム対策に役立てる施策

6/29(木) 9:00配信

アスキー

ソニーのコールセンターのノウハウを他社に提供するサービスが始まる。
 ソニーマーケティングは、同社コールセンターの運営や、直営店舗であるソニーストアのコミュニケーションノウハウを活用し、顧客満足度の向上につなげるためのコンサルティングサービスの提供を開始する。
 
 顧客対応における組織的運営体制構築のコンサルティング、製品およびサービスにおける市場対応スキーム構築のコンサルティングを、それぞれパッケージ化。カタタマーサービスのノウハウに、リスクマネジメントの視点を加えた「リスクマネジメントパッケージ」として、FAQサービスを提供しているオウケイウェイヴ、コールセンター事業を展開するベルシステム24を通じて販売する。
 

 ソニーマーケティングは、ソニー製品の「モノ売り」に留まらず、体験やサービスを提供する「コト売り」を推進する体制を強化。ソニーストアでは、製品の販売前、販売時、販売後までをトータルでサポートする体制を構築しながら、ソニーファンづくりに取り組んでいる。
 
 今回のリスクマネジメントパッケージは、自らのサービスノウハウを外販することで、コト売りの新たな可能性を追求することになる。
 
 「カスタマーサービスのノウハウをパッケージ化し、提供することで、企業における顧客の信頼感向上と、リスクマネジメントを両立させるCSオペレーション体制の構築を支援。企業と顧客が良好なリレーションシップを実現し、顧客満足度を向上させることに貢献したい」(ソニーマーケティング 執行役員 カスタマーサービス本部長の阪口顕弘氏)としている。
 
ソニーストアで培ったノウハウを情報やテンプレ化して提供
 「顧客対応における組織的運営体制構築のコンサルティング」の具体的な内容は、顧客対応時の社内基準権限の策定支援、FAQの整備支援、顧客対応スキル向上セミナーの実施などを通じて、担当者個人に依存しない組織的運営体制の構築を支援するものとしている。
 
 苦情対応の組織的役割の明確化、顧客対応方針の社内基準の策定、クレーム対応コストの可視化と削減施策策定、階層別の苦情対応人材の育成などを行い、育成プログラムや社内資格制度の導入なども図るという。
 
 「第1段階として、FAQの作成やガイドラインの策定、マニュアル化などを2~3カ月で用意しながら、半年間で実証。さらに第2段階として、半年をかけて実装していく。トータル1年をかけて定着させていくものになる」(ソニーマーケティング カスタマーコミュニケーション事業室長の斎藤猛氏)
 
 FAQでは、各社に共通して利用できる汎用FAQを50個、個別の企業オリジナルのFAQを50個の合計100個を用意。「100個あれば、ほぼ対応が可能になる。すべての項目に答えを記載し、社内の運用者の考え方や判断の理解を深める」という。
 
 また、製品およびサービスにおける市場対応スキーム構築のコンサルティングでは、組織横断的な市場対応推進体制の構築支援、社内ルールやマニュアルの策定およびドキュメント化支援、対応に必要な情報を共有できる標準的テンプレートの策定支援などを行う。
 
 品質問題への緊急対応などの場合に備えて、事前に組織横断体制と役割分担を明確化、共有情報内容と判断基準、プロセスを整備し、各部署の業務を着実に素早く遂行できることを目指す。
 
 関係部署と情報を共有するための「案件共有シート」、市場対応の仕方をまとめる「スタンスシート」のほか、指示系統やスケジュールなどをまとめるテンプレートも提供するという。
 
実践的な情報を示して体制を構築、経験のない企業にも役立つ
 ソニーマーケティングの斎藤室長は、以下のように語る。
 
 「単にドキュメント化したものを提供するだけでなく、組織として動くことができる『仕組み』として提供し、企業を支援するものになる。また、体制やアクションプランなどを事前に整備をすることで、迅速な市場対応ができるようになる。具体的な事例をもとにした自立して動ける組織を作ることを目指す」とする。
 
 いずれのパッケージも、現時点で料金は非公表。2017年7月にむけて、オウケイウェイヴから発表される予定だ。ツールを活用するための初期導入費用と、コンテンツのメンテナンスにかかる月額費用が必要になり、さらに、緊急時の対応において、支援が必要な場合には、別途費用がかかる。
 
 ソニーマーケティングの阪口執行役員は、「ソニーマーケティングでは、電話のほかにも、メールやチャットを利用したサポートを行うことで、顧客満足度を高める取り組みを行ってきた。とくに、チャットではすぐに対応が可能であること、履歴が残り、手厚いサポートができるなど、好評であった。
 
 だが、その一方で、個人スキルへの依存が高まり、さらに組織の再編やベテラン人材の流動によって、ノウハウが組織に残らないという課題も生まれた。また、効率化を追求するあまりに、早い段階でリスクに対応できず、かえって不満を大きくしてしまった例もあった。
 
 運用やノウハウを可視化し、標準化、体系化を進め、テンプレート化した。そうしたところ、昨年から、ソネットやソニー・インタラクティブエンタテイメント、ソニーモバイルコミュニケーションズなどのグループ企業が参考にしたいという話が浮上。さらに、口コミでの広がりにより、多くの企業から視察や相談を受け、年間30社が見学をした」
 
 「具体的にどのような体制を構築して、課題に対処していいのかわからない、あるいは経験値が低いため体制構築の網羅性に不安がある、早期に運用面でのベースラインを構築したいといった場合に活用してもらうサービスであり、顧客と企業が些細なことで揉めることがなく、リスクが発生しそうな予兆を捉えていち早く手を打つようにすることと、リスクが発生したときにどう動くかを、ソニーマーケティングの知見を生かして、コンサルティングサービスとして提供することになる」
 
企業向けFAQシステムを応用
 一方、オウケイウェイヴ エンタープライズソリューション事業部長の佐藤哲也取締役は、「オウケイウェイヴは、企業向けのFAQシステムとして59.8%のシェアを持ち、国内ナンバーワンである。情報が整理されている可読性、すぐに見ることができる検索性、多くの人に見られている活用度が重要であり、それによって社内の情報を知的財産にする知財流通マネジメントを提案している。ソニーマーケティングのコンテンツを活用することで、充実した、リアリティがあるサービスを、迅速に利用できるようになる」とした。
 
 また、ベルシステム24の岩下順二郎専務執行役員は、「過去3年間に対応した緊急対応事案は約130件。自主回収やリコール、サービスの不具合や契約変更などの緊急対応、そして、情報漏洩もある。これらの企業から聞かれるのは緊急ガイドラインを事前に整備しておけばよかったという声や、緊急センターの立ち上げに時間がかかったり、ノウハウを持った人材がいなかったという反省である。ソニーマーケティングが持つノウハウを活用したリスクマネジメントパッケージをサービスラインアップに加えて、初動対応から終息までをワンストップで対応できるようになる」と述べた。
 
文● 大河原克行 編集●ASCII

最終更新:6/29(木) 9:00
アスキー