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公式戦29連勝 藤井四段「強さの秘訣」はルーティンにあり

6/29(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「何でこんなに強いのか?」――。公式戦29連勝の大記録を樹立した藤井聡太四段(14)に多くの日本人が驚いている。

 藤井四段の対局スタイルで話題に上るのがそのクールさ。対局中も終了後のインタビューも冷静そのもの。この精神力が連勝の原動力となっていることは多くの専門家が認めている。

「彼が冷静なのは若くて対局経験が少ないからでしょう」とは明大講師の関修氏(心理学)だ。

「タイトルや社会的地位を手にした棋士は、勝負に負けたらどうしようといった不安を抱えている。ところが藤井四段はまだ中学生でタイトルもない。負けても非難される心配はありません。要するに、失うものがないのです。だから余計なことを考えず、いつも平常心でいられ、集中力も高い。“必ず勝つ”みたいな言葉を口にしないことも注目。自分に余計なプレッシャーがかかりません」

 そもそも若者は集中力が高いものだ。

 対局前にお茶を一口飲み、昼食でよく麺類を食べるのも理にかなっている。同じものを口にすることで体調をいつも同じ状態に保てるし、心身の変調を味覚で把握することもできる。イチローが試合前、毎回カレーを食べているのは有名だ。

「対局中、体を前後に揺らすのはリラクセーションのためでしょう。ずっと正座していると体が硬直し、わずかな痛みで脳に負担がかかる。その負担を軽減するのも集中力アップにつながるのです」(関修氏)

■対局中のチョコレートにも強さの秘密が

「週刊将棋」元編集長の古作登氏(大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員)によれば、藤井四段は生まれたときからコンピューターと接してきた「デジタルネーティブ」だという。

「将棋ソフトを使って将棋を研究してきたため対局中のミスが少ないのが特徴です。ミスをしたとしてもマイナスの多い『悪手』ではなく『疑問手』程度。前者がマイナス500点なら後者はマイナス100点くらいの違いがあります」

 藤井四段が対局中にチョコを食べていることも、強さと無関係ではない。

「スポーツ界も将棋界もプレーヤーは糖質を摂取するもの。糖分が欠如すると頭が働かなくなるから、棋士にとって甘いものは重要です。ただし糖が効果を発揮するには1~3時間くらいかかります。藤井四段は脳に糖が効き始める時間を熟知し、あと1時間とか2時間で勝負どころに差し掛かると読んだ時点でチョコを食べているのでしょう。東海地方という棋士を大切にする環境で育ったことも彼を大きく成長させました」(将棋観戦記者の鈴木宏彦氏)

 常に冷静さを保ち、集中力アップ。サラリーマンもこうありたい。