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北方領土でロシア企業が外国企業と共同事業、領土問題は一筋縄で行かない?

6/30(金) 8:30配信

THE PAGE

 北方領土の色丹島で、ロシア企業が外国企業と共同で新しい港湾整備事業を開始したことが波紋を呼んでいます。安倍政権はロシアとの友好関係を重視しており、領土問題解決に向けた話し合いを進めていますが、一筋縄ではいかないようです。

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 サハリン州のコジェミャコ知事は、色丹島における桟橋の建設事業について、韓国企業と共同で工事を開始したことを明らかにしました。NHKの取材に対して知事は「日本企業が先駆者として島に来ることを期待しているが、ずっと待ち続けることはできない」と話しています。

 日本とロシアは北方領土における共同経済活動の実現に向けて調査活動を行う予定となっていますが、ロシア側は以前から日本以外の企業も参加させたいという意向を示してきました。実際、2012年には択捉島における港湾建設事業において韓国企業が受注したケースもあります。

 北方領土については、日本固有の領土であるというのが日本政府の立場ですから、ロシア側のこのような行為は日本の立場をないがしろにするものといえます。ロシアはこうした状況を理解しているはずですから、外国企業への呼びかけは意図的なものと考えてよいでしょう。日本との具体的な領土交渉を進める前の段階で、外国企業を参加させることによって、日本以外にも利害関係者が存在するという既成事実を積み重ねることが狙いと思われます。

 安倍政権はロシアとの友好関係を重視しており、ロシア経済分野協力担当相を設置。ロシアに対して領土問題を解決したいとの熱いラブコールを送っていました。2016年12月には日露首脳会談を行いましたが、ロシア側の反応は冷たく、領土問題については事実上のゼロ回答でした。一方、ロシアの天然ガス開発や都市インフラの整備などにおける3000億円の経済協力の実施について合意しています。まずは経済分野での話し合いを進めるというわけですが、領土問題の進展がないままの協力関係構築については慎重な意見も出ていました。

 今回の港湾整備事業もあくまで経済プロジェクトの一貫ということですが、政治的な交渉材料になってしまうことは明らかです。日露交渉にあたっては、シベリア鉄道の日本延伸という話題まで飛び出していましたが、日本とロシアは地政学上、利害があまり一致しない国です。過度な期待は禁物でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/4(火) 6:06
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