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『WWE』シリーズや新プロジェクト“AR performers”で時代をリードするユークスを訪問【ファミキャリ!会社探訪(50)】

6/29(木) 12:02配信

ファミ通.com

●“ファミキャリ!会社探訪”第50回は、ユークス!
 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。第50回となる今回はユークスを訪問した。
 1993年に設立されたユークスは、とくにアクションゲームの開発に定評があるデベロッパー。なかでも『WWE』シリーズは、世界中のWWEユニバースから熱い支持を受けており、最新作『WWE2K17』も大ヒットを記録。同社を代表する看板シリーズだ。一方で、2016年10月に入社した内田明理氏による“ウチダラボ”では、AR(拡張現実)を巧みに使ったプロジェクト“AR performers”を展開。いままでになかった新時代のライブエンターテインメントが人気を集めている。今回は、その内田明理氏に話を聞いた。

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●必然だった内田明理氏のユークスへの入社
――まず、内田さんの経歴から教えてください。ゲーム業界に入るきっかけや志望動機、そして現在に至るまで、簡単にお答えください。
内田明理氏(以下、内田) 大学時代は、ほとんどゲーム業界とは関係のない経済学部に在籍していました。ただプログラマーのアルバイトをやっていたこともあり、技術系の就職情報誌で会社を探したところ、縁あって前職に就職することになりました。

――プログラマーとしてですか?
内田 はい。ただ、ゲーム関連のプログラマーではなく、テレビにパッドを使って絵を描くような、知育玩具を開発する部署に配属されました。その後、プレイステーションなどの新しいゲーム機が発売されるタイミングで、全社を上げてゲーム開発に力を入れることになり、ゲーム開発に携わることになりました。ゲーム開発の知識や経験はゼロだったのですが(笑)。

――ゲームはお好きだったのですか?
内田 もちろん嫌いではなかったのですが、熱烈にではなく、一般的な“好き”と言うレベルでした。『ドラゴンクエスト』シリーズの新作が出たら興味を持つし、『ストリートファイターII』もふつうにプレイしていた……という感じですね。

――経験のなかったゲーム開発という仕事は、いかがでしたか?
内田 子どものころから、オリジナルの遊びを考えるのが好きでした。ですから、全然自分の肌に合わないということはありませんでした。エンターテインメントというジャンルは自分に向いていると思っていました。ただ、自分がそれまでやってきたPCベースのグラフィックのプログラミングとはまったく違うものでしたから、最初はやはり苦労しました。しかし、プレイステーションは、ほかのプログラマーも新しいハードについてイチから勉強していたので、同じ条件でしたね。

――ユークスに転職することになった理由をお聞かせください。
内田 ユークスとは、前職時代に“女子プロレスを題材にしたゲーム”(※編集部注:『ランブルローズ』)の開発でごいっしょした縁がありました。前職では、外部のデベロッパーさんと仕事をすることが多かったのですが、中でもユークスはとても印象に残っていました。ほかにあまりない会社というか、アメリカのような会社という印象で、働くときは猛烈に働くし、休むときは長期で休むという。社員もロードレースやダンスバトルなど、いろいろな趣味を持っています。そしてプロ意識がとても高く、勉強させてもらうことが多かったです。いっしょに開発をした人たちとは、その後も飲みに行くなど、付き合いは続いていました。

――そう考えると、長い付き合いですね。
内田 ユークスに転職することにした決め手は、そんな長い付き合いがあり、社風がわかっていたということ。それから前職を辞めたときに、フリーでプロジェクトを組んでいろいろなことをやろうと思っていて、いま手掛けている“AR performers”もそのひとつでした。ただ、ゲームとはまた違ったものなので、なかなか理解が得難いものでした。しかし、ユークスに話を持ってきたとき、「それはおもしろそうだから、ウチでやっていいよ」と言ってもらえたんです。「目立つことやおもしろそうなことをやってほしい」という話になり、「じゃあ、ぜひ」とお世話になることにしました。生活も不安でしたから(笑)、お給料をいただいて、こんな実験的なプロジェクトをやれるなら願ってもないチャンスだと思いました。

――そういう意味では、理想的ですね。
内田 そうですね。おかげさまで、理想的な環境で働くことができていると思います。

●キャリアップにつながる“ジョブチェンジ”
――ユークスという会社の特徴はどんなところにあると感じますか?
内田 中に入ると細かい“粗”も感じましたが(笑)、しかしそういった部分も魅力ですし、入る前の印象とはあまり変わりませんでした。スタッフひとりひとりがプロフェッショナルだし、ベテランの方はマルチクリエイターで何でもできます。最初は専門分野や得意分野を担当しますが、何年かすると、“ジョブチェンジ”ではないですが(笑)、キャリアを積ませるために、いろいろなプロジェクトやチームに異動したりします。そこでは、先輩スタッフがキチンと指導し、また新しい師弟関係が生まれます。私のやっている“ウチダラボ”は、先行投資的といいますか、技術開発のプロジェクトですから、ふつうに考えればビジネスとして成功しているゲームを作っているチームのクリエイターは参加したがらないんですよ。自分の実績に結びつきづらいですからね。しかし、それでは新しいものがなかなか生まれないし、チャレンジできない組織になってしまいます。ユークスでは、チャレンジするようなプロジェクトに参加させた人も、参加した人も、それぞれ人事的に評価されるのです。これは理想的な考えかたではありますが、会社組織としては、実行するのはなかなか難しいので、単純にスゴイと思いました。

――ユークスといえば、世界的には『WWE』シリーズなど、格闘系アクションゲームの開発として有名です。一方で、『AR performers』といったプロジェクトも手掛けており、懐が深い印象があります。所属クリエイターやスタッフの印象を教えてください。
内田 少数精鋭のイメージが多少ありますが、皆さん、最初からすばらしい社会人やクリエイターだったわけではないですよね。入社してから、その人の人間性を見て、育ててくれる……そんな感じです。多少きびしいこともあるでしょうが、一度中に入ったら、最後までキチンと面倒を見てくれる……そんな印象があります。

――いろいろなプロジェクトに参加することによって、その人の技術やスキルが伸びるわけですね。
内田 当たり前のことですが、デザイナーだろうが、プログラマーだろうが、社会人として、電話の受け答えや接客の応対も完璧です。そして遊ぶときは遊ぶ。会社の行事もたくさんあります。行事といえば、いちばん驚いたのが、全社員での海外研修旅行ですね。大手企業にあるような上層部からの演説はないし、ヘンな研修プログラムなんてありませんでした(笑)。家族や恋人を同伴してもいいんですよ。

――数年に1回、行われるのですか? 旅行のあいだは、会社機能が止まっているんですよね?
内田 そうですね、完全に止まっていました(笑)。現地に着いたら、ほとんどフリータイム。一度、全員集まってのディナー会があったかな? ベタベタし過ぎず、いい意味でファミリーのような関係です。仕事をやる時は徹底的に集中し、逆に遊ぶ時も徹底的に遊ぶ。そういう意味では、アメリカの会社のようだとも言えますね。

●“AR performers”はさらに進化する可能性を秘めている
――内田さんの場合、ユークスの中では“ウチダラボ”として研究・開発をしていますよね。
内田 “ウチダラボ”がスタートしてから、まだ“AR performers”しか手掛けていませんが、“ウチダラボ”では、これまでずっとデベロッパーでやってきたユークスにおいて、新しい自社IP(知的財産)を作り出そう、というのがコンセプトです。それも、単純に世の中にあるフォーマットにのっとったものではなく、何か新しいことをやって、ユークスの存在感を示したいと思っています。

――内田さんがプロデュースを手掛けているその“AR performers”ですが、ますます軌道に乗ってきたのではないですか?
内田 まだまだ認知されているとは言えませんが、おかげさまでライブなどはかなり盛り上がってきたのではないかと思います。

――“AR performers”は、もともと内田さんが温めてきた企画なのでしょうか?
内田 そうですね。ぼんやりとですが、いまの“AR performers”のようなことができたらおもしろいだろうと思っていました。そして、いろいろな会社さんにお声掛けしたのですが、それと前後してユークスに入社することになったので、ユークスでプロジェクトの実現に向けて動き出すことになりました。当初は、もっと立ち上げまでに時間がかかるプロジェクトになるかなと覚悟していました。

――昨年くらいから、ARやVR、MRがトレンドとして取り上げられるようになりましたが、“ウチダラボ”というのは、そういった技術を研究する場所になるわけですね?
内田 そうですね。“研究”といえば聞こえがいいですが、実際は“実験”のほうが近いかもしれません。昔から仮説と検証が大好きだったので、“ウチダラボ”ではさまざまなことを試していきたいと思っています。

――内田さんから見た“AR performers”の魅力や可能性は、どこにあると思いますか?
内田 “AR performers”というのは、簡単に言うと、実際のステージに2次元のキャラクターたちが登場し、歌って踊って、さらにはお客さんと生でお話できるというものです。いままではスイッチやボタンを押すと反応する再生映像でしかなかった2次元の世界を、3次元空間に出し、仮想現実技術を使って、それらと観客が生でやり取りする試みです。

――最先端技術である一方、ステージはかなりアナログな作業に支えられている部分もありますよね。ダンサーやボイスアクターが、舞台裏で客席の反応を見ながら対応したり、と。
内田 役者陣の職人技です(笑)。そもそもは、AR上でアーティストを作るにあたって、歌もダンスもトークも、すべて一流の人を使ったら、すごいアーティストができるのではないかという考えがコンセプトとしてありました。世の中にはまずいない、そんなスーパーマンのようなアーティストをAR上で作ってしまう……それが魅力だと思います。現在は、現実世界の中で2Dのパフォーマーたちが実際のアーティストのようなライブをやるレベルにまで来ました。今後は、2Dならではの演出や、実在のアーティストでは絶対できないようなことを舞台上でやっていきたいと思っています。

――現在はVRやMRよりも、ARを突き詰めようと?
内田 “AR performers”はまだ完成型ではないですから、これからも続けなければいけません。一方で、ステージ側のアーティストと客席側の不特定多数のファンという関係から、1対1の関係を構築できてもいいのではないか、と考えています。架空のキャラクターですから、実在のタレントさんと違って、そういったこともできるわけです。そうなると、VRにも向いているなぁとも思います。ARでのステージを楽しんだ後に、VRで握手会や、楽屋ツアーもおもしろそうですね(笑)。いろいろな可能性があると感じています。

――それは楽しみです。それでは、今後どのような人といっしょに仕事をしたいとお考えですか?
内田 ひと言で言うなら“おもしろいことが好きな人”。ユークスは、スペシャリストでありつつも、ほかのジャンルへとキャリアをどんどん広げていきたいと思っている人に向いている会社です。得意なことがあり、将来もそれしかやりたくないという人には向いていません。得意なことがありつつも、あれもこれも、将来的にはなんでもできるようになりたいという方に向いています。

――最後に、現在転職を考えているクリエイターにひと言お願いします。
内田 とにかく広い視野を持ってほしいですね。以前のゲーム業界と違って、プラットフォームの変遷だけではなく、ゲームシステムや遊びかたも、1年単位で変わっています。よくゲーム業界志望の方にいるのが、「『●●』が大好きなので、こんなゲームを作りたいです」。それがダメだとは言いませんが、もっといろいろなことをやっていくための覚悟が必要ですね。いまやっている仕事や、流行っているものは、来年のゲーム業界にはなくなっているかもしれません。それくらいのスピード感で変化している業界です。ゲームでも、キャラクターでも、それに関係することすべてをやってみたいと思うようになってほしいですね。20歳そこそこで、自分に何ができて、何がしたいかなんてわかるわけがないですよ。ゲーム業界という、自分が興味を持った業界に入れたのなら、そこで与えられたことを何でもやってみてください。それは絶対に自分の身になりますし、つぎのステージに上った時に、自分のやりたいことや得意なことが定まってくるはずです。そうなるには、それまでに誠心誠意やれることをやっていないとダメでしょうね。連鎖的に得意なことが広がっていくかもしれませんよ。

――参考になります。
内田 「俺がやりたいことは、これじゃないんだよな~」じゃなくて(笑)、とりあえず一生懸命やってみましょう。そうしないと、時間がもったいないですよ。

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<ユークスってどんな会社?>
 1993年に設立されたユークスは、とくにアクションゲームの開発に定評があるデベロッパー。なかでも『WWE』シリーズは、世界中のWWEユニバースから熱い支持を受けており、最新作『WWE2K17』も大ヒットを記録している、同社を代表する看板シリーズだ。また、2005年には新日本プロレスリングを子会社し、大きな話題を呼んだ(平成24年1月にて全株式譲渡)。
 一方で、2016年10月に入社した内田明理氏による“ウチダラボ”では、AR(拡張現実)を巧みに使ったプロジェクト“AR performers”を展開。パフォーマーと客席が一体となったステージは、これまでになかった2Dアーティストのライブとして盛り上がりを見せている。
 2009年にはアメリカに現地法人となるYUKE'S LA Inc.を設立するなど、海外展開も積極的に行っている。

株式会社ユークス
●代表取締役社長:谷口 行規 ●設立年月日:1993年2月26日
●従業員数:225名(平成29年1月現在)
●事業内容:家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売 等



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最終更新:6/29(木) 12:02
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