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ママ友のヒエラルキー、いじめ、DV…「ビッグ・リトル・ライズ」シーズン1評【厳選!ハマる海外ドラマ】

6/29(木) 21:28配信

シネマトゥデイ

 女性の人権(フェミニズム)を求める声が、今また高まっている。といっても、ハリウッドの女優が男性スターと出演料を同等にするとか、エマ・ワトソンがフェミニストを標榜するなどの話は、応援してるけどそれはそれで遠い話にも思えてしまう。だって、日本の現状を考えてみたら、それ以前の問題が横行しているじゃないですか。電車のバギーやママがネイルしてるとか、炎上必至の「女性はこうあるべき」という勘違いCMもそうだし。あと、美術館やゴルフ場でのナンパを指南する高齢男性向けの雑誌とか、大いに疑問。でも、オスカー女優共演も話題の「ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~」を見れば、アメリカの富裕層(シングルマザーで生活が大変な人も登場するけど)のママたちの悩みに親近感も。母親、妻とは「こうあるべき」という社会通念がいまだ、これほどまでに女性たちの呪縛となっているとは。

【写真】ありえないキャスト!オスカー女優がママ友役で共演

 オスカー女優のリース・ウィザースプーン&ニコール・キッドマン(兼製作総指揮)、『きっと、星のせいじゃない。』(2014)のシェイリーン・ウッドリーがママ友を演じる。なんて豪華キャスト! ベースになるのは、小学校主催のイベントの夜、誰かが誰かによって殺害された事件。街の関係者の証言を挟みながら、ことの発端と思われる子供間のいじめによって、ママ友の人間関係にピシっと亀裂が入った日から事件当夜までの出来事を全7話でサスペンスフルに描き出す。

 ワーママと専業主婦、成功者&金持ちとシングルマザー、夫婦間の微妙なずれ、親と子、不倫、いじめ、DVなど、センセーショナルな題材をてんこ盛り。それでいて、ドロっとならない洗練された映像世界から浮き彫りになるのは、これまでに埋没していた女性たちの心の声だ。もちろん、このドラマに出てくるママたちの暮らしぶりに、何がそこまで大変なの? と思う人もいるかもしれない。でも、人の幸せは外から見ただけではわからない。よくいるでしょう、おしどり夫婦で有名だったのに……とか、完璧な家族に見えたのに……とか。本作に登場するどの家庭も、程度の差はあるけれど、何かしらの理由で問題を抱えている。

 キーとなるのは、元弁護士の才色兼備で、一見すると完璧な夫ペリー(アレクサンダー・スカルスガルド)がいながら、能面のような表情が印象的なセレステ。原作者がキッドマンを想定して書いただけあって、まさに原作のイメージ通りなのだが、第5話でセレステがセラピストを相手に、長年否定し続けてきた自分が抱える問題と対峙していく過程は、鳥肌もの! 妻、母親、女性であることの前に、人は等しく一人の人間としてあるべきだと強く思わずにはいられない。これこそがフェミニズム。キッドマンは大胆な性描写にも体当たりで挑んでいるが、この第5話こそが女優としての真骨頂という感じで、文字通り息をのむ。

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最終更新:6/29(木) 21:28
シネマトゥデイ